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特集〔宮城谷昌光『新 三河物語』刊行記念インタビュー〕

波 2008年9月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/08/27

発売日 2008/08/27
JANコード 4910068230980
定価 105円(税込)

特集〔宮城谷昌光『新 三河物語』刊行記念インタビュー〕
宮城谷昌光/三十余年を経て見つけた、大久保彦左衛門の素顔

重松 清『気をつけ、礼。』
杉江松恋/永遠の先生、永遠の生徒

玄侑宗久『テルちゃん』
中沢けい/不思議を生き返らせるために

小野正嗣『マイクロバス』
佐伯一麦/難解さの輝き

乃南アサ・園田 寿『犯意―その罪の読み取り方―』
前田雅英/「感性」こそが法の姿を変えてゆく

井上荒野・江國香織・川上弘美・小手鞠るい・野中柊・吉川トリコ『甘い記憶』
三浦天紗子/甘美な秘密が語られるとき

小川洋子・河合隼雄『生きるとは、自分の物語をつくること』
河瀬直美/魂の出会い

岩波 明『心に狂いが生じるとき―精神科医の症例報告―』
森 達也/僕たちは「濃淡のある領域」にいる

文・江國香織 画・立原位貫『竹取物語』
増田喜昭/絵本『竹取物語』の誕生

上野 誠『魂の古代学―問いつづける折口信夫―』(新潮選書)
山折哲雄/気むずかしい「師」に真っ向勝負

天沼 香『故国を忘れず新天地を拓く―移民から見る近代日本―』(新潮選書)
熊田忠雄/神戸発ブラジル経由浜松行

大内伸哉『どこまでやったらクビになるか―サラリーマンのための労働法入門―』(新潮新書)
大内伸哉/労働法を知ることの効用

ジュンパ・ラヒリ『見知らぬ場所』(新潮クレスト・ブックス)
川上弘美/「愛」の果て

ケイト・アトキンソン『博物館の裏庭で』(新潮クレスト・ブックス)
辻原 登/生まれ、消えゆく、一族の物語

コラム
三橋曉の海外エンタ三つ巴
松本侑子/とんぼの本自著を語る
とんぼの本編集部通信
豊崎由美/新潮クレスト・ブックス創刊10周年によせて
源氏物語千年紀 大きな文字で待望の復刊『円地文子訳 源氏物語』

連載
東 直子/薬屋のタバサ 第13回
桶谷秀昭/素人の読む『資本論』 第8回
花村萬月/百万遍 流転旋転 第21回
宮城谷昌光/古城の風景 第63回 長久保城
日高敏隆/猫の目草-セミと種族
鹿島 茂/パリの日本人 第7回
保阪正康/即位と崩御 第21回
佐藤寛子/グラビアアイドルのヨムヨム生活(13)
秋山 駿/忠臣蔵 最終回
田牧大和/三人小町の恋 ふたり拝み屋手控帖 第2回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、長編歴史小説『新 三河物語』(全三巻)の刊行が開始する宮城谷昌光氏(上巻・八月二十九日発売、中巻・九月発売、下巻・十月発売)。日本の戦国時代を舞台にした宮城谷氏の小説は、『風は山河より』(新潮社)に続く二作目。北海道新聞、東京新聞、中日新聞、西日本新聞の各紙に連載されました。
 今回、宮城谷氏が光をあてたのは、大久保彦左衛門忠教。「天下のご意見番」として時の将軍に面と向かって説教したとか、「たらい」に乗って登城したとか、いろいろな話がありますが、宮城谷氏の作品を読めば、実際の彦左衛門は、講談や映画、テレビで、私たちが持っているイメージとは、だいぶ違った人物だったということが判ります。
 表紙に写っているノートは、氏の自筆の「彦左衛門ノート」。このノートから、『新 三河物語』がうまれました。また、つるの折れた眼鏡をゴム紐で結んだ、愛嬌のある表情のこけし(?)は、彦左衛門ゆかりの愛知県額田郡幸田町で作られている「彦左人形」です。木の味わいを残し、一つ一つ手作りで作られ、人形ごとに、それぞれ表情は微妙に違っています。
 本誌で好評連載中の「古城の風景」の最新刊『古城の風景 5―北条の城―』も同時に発売されます。このシリーズは、『新 三河物語』にも登場する、城址、古戦場などをはじめ、三河、駿河、伊豆に点在する戦国武将の故地を宮城谷氏が巡り、その歴史の舞台裏を描く歴史紀行エッセイ。
 このシリーズも巻を重ね、とうとう第五巻となりました。『新 三河物語』『風は山河より』をより深く理解して読むためには必読のシリーズです。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。