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[川上弘美『どこから行っても遠い町』刊行記念インタビュー]

波 2008年12月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/11/27

発売日 2008/11/27
JANコード 4910068231284
定価 105円(税込)

[川上弘美『どこから行っても遠い町』刊行記念インタビュー]
川上弘美/そして人生はつづく

玉岡かおる『銀のみち一条(上・下)』
玉岡かおる/王者の銀山に捧げる物語

恒川光太郎『草祭』
小谷真理/いつでもそこに異界の感触を

熊谷達也『いつかX橋で』
高城 高/敗戦直後、若者たちのこんな生き方

米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』
村上貴史/米澤穂信――その記念碑的作品誕生に喝采を

小澤征良『しずかの朝』
角田光代/縁とか運命とか

特集[日本ファンタジーノベル大賞20周年記念特集]
中村 弦『天使の歩廊―ある建築家をめぐる物語―』
細谷正充/近代日本史への静かな拒絶

里見 蘭『彼女の知らない彼女』
衿野未矢/ありえない疾走

仁木英之/避雨雙六 「僕僕先生」シリーズ番外編

秋山 駿『忠臣蔵』
高井有一/時代の精神を探る

中沢新一『鳥の仏教』
養老孟司/鳥たちが伝える仏教

谷村志穂『余命』(新潮文庫)
【インタビュー】松雪泰子/百田滴という人生

[『帰郷者』刊行記念インタビュー]
ベルンハルト・シュリンク、きき手:松永美穂/『朗読者』以来の長篇は半自伝的大作

吉村順三『火と水と木の詩―私はなぜ建築家になったか―』
藤森照信/住むということの本質的な普通さ

江花優子『君は誰に殺されたのですか―パロマ湯沸器事件の真実―』
山根健二/息子の死、親としての戦い

杉山 春『移民環流―南米から帰ってくる日系人たち―』
芹沢一也/日本社会のありうべき未来のリアルな予想図

都倉俊一『あの時、マイソング ユアソング』
山上路夫/時代と音楽

[西成活裕『無駄学』刊行記念対談]
茂木健一郎×西成活裕/無駄の「相転移」

土屋英明『中国の性愛術』(新潮選書)
土屋英明/水火同源

石光 勝『テレビ番外地―東京12チャンネルの奇跡―』(新潮新書)
石光 勝/直木賞作家が司会した「一番長い番組」

コラム
とんぼの本編集部通信
新潮クレスト・ブックス 創刊10周年によせて
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
【新連載】池田清彦/生物38億年 進化の旅
【新連載】中島義道/ヒトラーのウィーン
佐藤寛子/グラビアアイドルのヨムヨム生活(16)
花村萬月/百万遍 流転旋転 第24回
松本健一/三島由紀夫と司馬遼太郎 第3回
鹿島 茂/パリの日本人 第10回
宮城谷昌光/古城の風景 第66回 柏久保城
田牧大和/三人小町の恋 ふたり拝み屋手控帖 第5回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、連作短篇集『どこから行っても遠い町』が、この十一月に刊行された川上弘美氏。装画に使用されているのは、週刊新潮の表紙でもおなじみの谷内六郎さんの作品です。
◇今月号より、新しく二作品の連載がはじまります。
 まずは、中島義道氏の「ヒトラーのウィーン」。中島氏は、一九四六年(昭和二十一年)福岡県生れ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了、ウィーン大学基礎総合学部修了、哲学博士。現在、電気通信大学教授。『ウィーン愛憎』『哲学の教科書』『うるさい日本の私』『孤独について』『私の嫌いな10の言葉』『続・ウィーン愛憎』『悪について』『哲学者というならず者がいる』など、数多く著書があります。
 二作品目は、池田清彦氏の「生物38億年 進化の旅」。池田氏は一九四七年(昭和二十二年)、東京都足立区生まれ。東京都立大学大学院生物学専攻博士課程修了、生物学者。現在、早稲田大学国際教養学部教授。著書に、『構造主義科学論の冒険』『分類という思想』『昆虫のパンセ』『新しい生物学の教科書』『正しく生きるとはどういうことか』『他人と深く関わらずに生きるには』『環境問題のウソ』『遺伝子がわかる!』などがあります。
◇日本ファンタジーノベル大賞の大賞受賞作『天使の歩廊―ある建築家をめぐる物語―』(中村弦)、優秀賞『彼女の知らない彼女』(里見蘭)の二冊が、いよいよ刊行されました。今号では、この二冊の書評に加え、今回で第二十回を迎えた日本ファンタジーノベル大賞の歴史を振り返るとともに、第十八回の大賞受賞者の仁木英之氏に、大賞受賞作『僕僕先生』の特別短編をお願いしました。なお、シリーズ第二作『薄妃の恋 僕僕先生』も好評発売中です。
◇本誌連載の秋山駿氏『忠臣蔵』が刊行されました。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。