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[奥泉 光『神器―軍艦「橿原」殺人事件―』刊行記念インタビュー]

波 2009年2月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/01/27

発売日 2009/01/27
JANコード 4910068230294
定価 105円(税込)

特集[奥泉 光『神器―軍艦「橿原」殺人事件―』刊行記念インタビュー]
奥泉 光/語りの多様性が新たな歴史を作る

小手鞠るい『別れのあと』
大島真寿美/いつか勲章に変わる恋

船戸与一『灰塵の暦―満州国演義5―』
西上心太/日中全面戦争へ――破滅への端緒

中島桃果子『蝶番』
瀧井朝世/“誰かの子供”からの卒業

特集[帚木蓬生『風花病棟』刊行記念]
【インタビュー】帚木蓬生/全力投球と闘病の経験 渾身の初短編集誕生!
池上冬樹/目頭を熱くする華やぎと儚さに満ちた余韻

マイケル・オンダーチェ『ディビザデロ通り』(新潮クレスト・ブックス)
小野正嗣/偶然と断片からなる喪失の物語

野口武彦『幕末バトル・ロワイヤル 天誅と新選組』(新潮新書)
野口武彦/天誅と幕末心理

特集[保阪正康『崩御と即位』刊行記念対談]
保阪正康×浅見雅男/優れた天皇が「誕生」する条件とは

安部 司『なにを食べたらいいの?』
佐藤 弘/知らなければ、はじまらない

美達大和『人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白―』
山本譲司/殺人犯の肉声が聞こえる

藤原正彦『人生に関する72章』(新潮文庫)
藤原美子/藤原先生に折り入って御相談

釈 徹宗『不干斎ハビアン―神も仏も棄てた宗教者―』
釈 徹宗/世界初の比較宗教学者

田近英一『凍った地球―スノーボールアースと生命進化の物語―』
松井孝典/「地球が凍った」という事実に凍える

城山三郎『どうせ、あちらへは手ぶらで行く―「そうか、もう君はいないのか」日録―』
重松 清/日付のある妻への恋文

第5回 新潮エンターテインメント大賞募集要項

コラム
とんぼの本編集部通信
「考える人」─須賀敦子が遺した言葉に向かって
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
鹿島 茂/パリの日本人 第12回
中島義道/ヒトラーのウィーン 第3回
花村萬月/百万遍 流転旋転 第26回
群ようこ/ぎっちょんちょん 第2回
松本健一/三島由紀夫と司馬遼太郎 第5回
宮城谷昌光/古城の風景 第68回 下田城
池田清彦/生物38億年 進化の旅 第3回
田牧大和/三人小町の恋 ふたり拝み屋手控帖 第7回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今年生誕百年を迎えた太宰治と松本清張。四三歳で芥川賞を受賞した遅咲きの清張に対して、太宰は二六歳の若さで第一回芥川賞の候補になりました。社会派、無頼派とタイプも異なる才能ですが、それぞれ享年八二、享年三九で亡くなるまでに、多くの傑作・名作・問題作を後世に残しています。二人が生まれた一九〇九年(明治四二年)の流行語は「ハイカラ」、ハルビンでは伊藤博文が暗殺されています。二人のほか、作家の大岡昇平・埴谷雄高・中島敦、俳優・女優では、上原謙・杉村春子・田中絹代、映画評論家の淀川長治・小森和子、元プロ野球監督の水原茂、美容家の山野愛子といった多彩なメンバーが同年生まれです。
◇『ローマ亡き後の地中海世界』の刊行を記念して塩野七生氏のサイン会が開催されます。全て要整理券。詳細は各書店まで。
二月五日(木)18:30~19:30 紀伊國屋書店新宿本店(東京)(03‐3354‐0131)
二月八日(日)15:00~16:00 星野書店近鉄パッセ店(名古屋)(052‐581‐4796)
二月九日(月)18:30~19:30 旭屋書店本店(大阪)(06‐6313‐1191)
二月一一日(水・祝)15:00~16:00 丸善仙台アエル店(仙台)(022‐264‐0151)
二月一三日(金)18:30~19:30 有隣堂ルミネ横浜店(横浜)(045‐453‐0811)
二月一四日(土)15:00~16:00 金高堂本店(高知)(088‐822‐0161)
◇今月の表紙の筆蹟は、この一月に刊行された大作『神器』の著者奥泉光氏。この作品で大活躍するのが、鼠たちです。本の装幀(装画・ケッソクヒデキ)にも、そのシルエットが描かれていますが、その一匹が本誌の表紙にやってきたところを、可愛い猫が待ち構えていました。この猫は、奥泉家の一員、雄猫です。表紙の言葉は、作品中の俳句好きの主人公が作った一句です。(撮影・坪田充晃)
◇先月号に掲載した「入魂には男の匂いがある」の筆者名は、青木茂氏でした。訂正して、お詫びいたします。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。