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特集[山田詠美『学問』刊行記念]

波 2009年7月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/06/27

発売日 2009/06/27
JANコード 4910068230799
定価 105円(税込)

村上春樹『1Q84(BOOK1・BOOK2)』
岩宮恵子/1Q84 10歳の子どもたちの物語

特集[山田詠美『学問』刊行記念]
【対談】吉田修一×山田詠美/欲望の「愛弟子」になること
豊崎由美/性と生をまっとうすることの美しさ

特集[佐藤友哉『デンデラ』刊行記念]
佐藤友哉/ダンダラ
香山二三郎/老婆軍団vs巨大羆

田牧大和『緋色からくり』
末國善己/「しゃばけ」『のぼうの城』に続く時代小説の新しい波

犬飼六岐『叛旗は胸にありて』
児玉 清/新鮮な驚きに満ちた慶安事件全始末記

生野照子『リストカットの向こうへ』
生野照子/面接の「場の迫力」

北原亞以子『誘惑』
【対談】河竹登志夫×北原亞以子/「誘惑」のすべて

エイミー・ブルーム『リリアン』(新潮クレスト・ブックス)
栗田有起/この世でいちばん大事なこと

野村宏之『密航屋』
平田文昭/異国で地を這った者ゆえの励まし

山口由美『消えた宿泊名簿―ホテルが語る戦争の記憶―』
西木正明/歴史の証人、レジスターブック

蓮池 薫『半島へ、ふたたび』
【インタビュー】蓮池 薫/僕がソウルへ行った理由

河西千秋『自殺予防学』(新潮選書)
大野 裕/心の視野狭窄

小谷 賢『モサド―暗躍と抗争の六十年史―』(新潮選書)
北岡 元/インテリジェンスの生きた教科書

木原武一『人生に効く漱石の言葉』(新潮選書)
木原武一/言葉の力

西村 淳『面白南極料理人 名人誕生』(新潮文庫)
北村浩子/極寒地でのハイテンションな日々

岩谷英昭『松下幸之助は生きている』(新潮新書)
岩谷英昭/不況下で見つめ直す「経営の神様」の至言

コラム
とんぼの本編集部通信
三橋曉の海外エンタ三つ巴
「考える人」─日本の科学者100人100冊
香山二三郎/『黒い手帖からのサイン』と清張伝説

連載
群ようこ/ぎっちょんちょん 第7回
花村萬月/百万遍 流転旋転 第31回
宮城谷昌光/古城の風景 第73回 羽豆(幡豆)崎城
小泉武夫/男精食のすすめ 奇妙な精力食
松本健一/三島由紀夫と司馬遼太郎 第10回
中島義道/ヒトラーのウィーン 第8回
新野剛志/中野トリップスター 第1話(4)
池田清彦/生物38億年 進化の旅 第8回
田牧大和/三人小町の恋 ふたり拝み屋手控帖 第12回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆跡は、六月三〇日に待望の長編小説『学問』が刊行される山田詠美氏。表紙に写っている原稿は、その冒頭部分の一枚です。
◇本誌で『身近なもので生き延びろ―知恵と工夫で大災害に勝つ―』(新潮文庫)を連載していただいた西村淳氏。氏は、一九五二(昭和二七)年、北海道留萌市生れ。網走南ヶ丘高校卒業後、舞鶴海上保安学校へ。巡視船勤務の海上保安官となり、第三〇次南極観測隊、第三八次南極観測隊ドーム基地越冬隊に参加しました。
 この八月、そのときの体験を描いた抱腹絶倒のエッセイ『面白南極料理人』『面白南極料理人 笑う食卓』(ともに新潮文庫)を原作にした映画「南極料理人」(東京テアトル配給)が公開されます。
 ペンギンもアザラシも、そしてウイルスさえも生存が許されない地の果て、南極ドーム基地。昭和基地から一〇〇〇キロメートルかなた、富士山よりも高い標高三八〇〇メートル、平均気温マイナス五七℃、酸素も少なければ太陽も珍しい世界一過酷な場所。でも、そこには選り抜きの食材と創意工夫の精神、そして何より南極氷より固い仲間たちの絆がたっぷりとありました。
 その隊員たちの抱腹絶倒の毎日を、昨年数々の映画賞を受賞した、西村氏役の堺雅人をはじめ、生瀬勝久、きたろう、高良健吾、豊原功補と、一癖もふた癖もある役者たちが演じています。
 猛暑の日本、映画のなかのマイナス五七℃の南極で、おいしいごはんを食べてみませんか。
 また文庫で大ベストセラーとなり話題を呼んだ、『蟹工船・党生活者』(新潮文庫)を原作にした映画「蟹工船」(IMJエンタテインメント配給)が、七月四日より、全国ロードショー公開されます。松田龍平、西島秀俊、高良健吾、新井浩文、柄本時生、木下隆行(TKO)、木本武宏(TKO)らの出演で、「蟹工船」の世界がどのように表現されるか。請うご期待です。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。