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特集[いま、なぜ「山崎豊子」なのか?]

波 2009年11月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/10/27

発売日 2009/10/27
JANコード 4910068231192
定価 105円(税込)

平岩弓枝『聖徳太子の密使』
【インタビュー】平岩弓枝/旅は人間を成長させる

重松 清『再会』
【グラビアアイドルのヨムヨム生活・特別篇】
佐藤寛子/きっと再会できるさ、と重松さんはささやく

津原泰水『ブラバン』(新潮文庫)
鈴木博文/見事なまでの音楽小説

堀川アサコ『たましくる―イタコ千歳のあやかし事件帖―』
神永 学/現実と非現実の、絶妙なバランス

[池澤夏樹『カデナ』刊行記念インタビュー]
池澤夏樹/1968年夏、沖縄、アメリカ、ハノイ

ガルシア=マルケス自伝『生きて、語り伝える』
寺尾隆吉/のびのびと、生き生きと

ポール・オースター『ガラスの街』
吉田篤弘/世にも奇妙な探偵の冒険

鹿島 茂『パリの日本人』(新潮選書)
林 望/むしろ『巴里畸人録』とも言いつべきか

芳沢光雄『「3」の発想―数学教育に欠けているもの―』(新潮選書)
西村和雄/数学嫌いの人たちへ

津野海太郎『したくないことはしない―植草甚一の青春―』
堀江敏幸/正しい「勉強」の仕方

深田和範『「文系・大卒・30歳以上」がクビになる―大失業時代を生き抜く発想法―』(新潮新書)
深田和範/クビを覚悟で書きました

佐藤隆介『池波正太郎指南 食道楽の作法』
柏井 壽/何が何でも変えない信条

安住洋子『いさご波』
縄田一男/評論家生命を懸けて保証する

吉崎エイジーニョ『オトン、サッカー場へ行こう!』
吉崎エイジーニョ/日本高齢化社会とサッカー

特集[いま、なぜ「山崎豊子」なのか?]
権田萬治/鋭い時代感覚と個性的な人間造形
佐藤忠男/“大説”としての山崎作品
土川 勉/規格はずれは当たり前
長部聡介/「時代」という主人公

「山崎豊子 自作を語る」シリーズ編集部/謎解き「山崎豊子」

【訳し下ろし短篇】ミランダ・ジュライ(岸本佐知子訳)/あざ

コラム
三橋曉の海外エンタ三つ巴
「考える人」─どっこい生きてる活版印刷!

連載
宮城谷昌光/古城の風景 第77回 坂部城
田牧大和/三人小町の恋 ふたり拝み屋手控帖 第16回
花村萬月/百万遍 流転旋転 第35回
中島義道/ヒトラーのウィーン 最終回
池田清彦/生物38億年 進化の旅 第12回
小泉武夫/男精食のすすめ 秋は牡陰の季節
松本健一/三島由紀夫と司馬遼太郎 第14回
新野剛志/中野トリップスター 第2話(3)
群ようこ/ぎっちょんちょん 第11回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、待望の長編小説『聖徳太子の密使』が、この十月に刊行された平岩弓枝氏。個性あふれる三匹の猫をお供にした聖徳太子の愛娘の冒険は、はらはらどきどきの連続、まさに平岩版「西遊記」です。
 表紙に写っているのは、代々木八幡宮の絵馬で、絵は蓬田やすひろ氏。蓬田氏は、みなさんもご存知のように、代々木八幡宮の神主家の娘である平岩氏の代表作『御宿かわせみ』シリーズの挿絵を長く担当し、本作品でも、雑誌連載中の挿絵、単行本の装幀・挿画をお願いしています。猫が描かれているのは心願成就の絵馬ですが、毎年絵柄が変わる干支招福絵馬も人気抜群で、持ち帰ってコレクションしている人もいるようです。干支の動物とともに童子が描かれた絵馬を十二枚揃えると、さらに幸運が舞い込んでくるかもしれません。絵馬に書かれている平岩氏の筆蹟は、連載最終回の原稿のタイトル部分から抜き出したもので、「睡蓮は海をつなぎ 伝説は心を結ぶ」です。
◇宮城谷昌光氏の好評連載「古城の風景」も今回で連載第七十七回を迎えましたが、この十月にシリーズ第六巻の単行本『古城の風景6 北条水軍の城』が刊行されました。
 本シリーズで、今まで訪ねた戦国時代ゆかりの場所は一〇〇以上。歴女の方々はもちろん、すべての歴史ファンに読んでいただきたい歴史紀行です。「古城の風景」シリーズは『1 菅沼の城 奥平の城』『2 松平の城』『3 一向一揆の城』『4 徳川の城 今川の城』『5 北条の城』と、それぞれ好評発売中です。今回のお勧めは、静岡県裾野市の葛山館址。きれいに残った土居に囲まれた館址(単濠単郭式の方形館)は必見です。数々の城址・館址を見てきた宮城谷氏も、「日本のなかでもこれほどの館址は多くあるまい」と絶賛するほどの逸品です。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。