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特集[安部龍太郎『下天を謀る(上・下)』刊行記念]

波 2009年12月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/11/27

発売日 2009/11/27
JANコード 4910068231291
定価 105円(税込)

特集[安部龍太郎『下天を謀る(上・下)』刊行記念]
藤田達生/今よみがえる「家康の参謀」
【インタビュー】安部龍太郎/技術と情報を操る男・藤堂高虎

村上春樹『めくらやなぎと眠る女』
斎藤英治/村上春樹のユーモア感覚

楊 逸『すき・やき』
酒井順子/すきやきの最初の一口

舞城王太郎『ビッチマグネット』
佐々木 敦/「第二期舞城王太郎」の開幕

柴田よしき『いつか響く足音』
藤田香織/凍える心をあたためる、柴田よしきの点した灯。

イアン・マキューアン『初夜』(新潮クレスト・ブックス)
小池昌代/初夜の戦慄

特集[日本ファンタジーノベル大賞特集]
大森 望/日本ファンタジーノベル大賞の二十年

小田雅久仁『増大派に告ぐ』(第21回日本ファンタジーノベル大賞受賞作)
柳下毅一郎/団地が見る悪夢

遠田潤子『月桃夜』(第21回日本ファンタジーノベル大賞受賞作)
石井千湖/計り知れない神との対決

中村 弦『ロスト・トレイン』
瀧井朝世/乗換駅での決断
【インタビュー】中村 弦/実は、鉄道ファンじゃないんです

日本鉄道旅行地図帳編集部・編『満洲朝鮮復刻時刻表』
曽我誉旨生/鉄道地図帳と復刻時刻表

神舘和典『「メール好感度」を格段に上げる技術』(新潮新書)
神舘和典/温もりあるメールとは?

内田 樹『日本辺境論』(新潮新書)
【インタビュー】養老孟司/手作りの家のような思考

グウィン・ダイヤー『地球温暖化戦争』
兵頭二十八/気候変動は国際関係にどんなインパクトをあたえるか

小山鉄郎・著/白川 静・監修『白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい』(新潮文庫)
岸本葉子/白川漢字学へのすぐれた案内

古井由吉『人生の色気』
前田 塁/嗄れた声で

立川キウイ『万年前座―僕と師匠・談志の16年―』
立川志らく/キウイをご存知か?

吉村 仁『強い者は生き残れない―環境から考える新しい進化論―』(新潮選書)
西成活裕/「最適」よりも「そこそこ」

コラム
とんぼの本編集部通信
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
花村萬月/百万遍 流転旋転 第36回
小泉武夫/男精食のすすめ 干した海産物に憧れて
宮城谷昌光/古城の風景 第78回 村木砦
池田清彦/生物38億年 進化の旅 最終回
田牧大和/三人小町の恋 ふたり拝み屋手控帖 第17回
松本健一/三島由紀夫と司馬遼太郎 第15回
新野剛志/中野トリップスター 第2話(4)
群ようこ/ぎっちょんちょん 第12回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、長編小説『すき・やき』が、この十一月二十七日に刊行された楊逸氏。『時が滲む朝』(文藝春秋)で芥川賞を受賞した氏は、中国籍の作家として、また日本語以外の言語を母語とする作家として、史上初めての芥川賞受賞者となり、話題になりました。
 寒い冬、身体が温まるすきやきの鍋のように、この作品を読んで、心まで温かくなってみませんか。
第五回新潮エンターテインメント大賞(主催/フジテレビ・新潮社)受賞作が決定しました。応募総数五六九作のなかから、ただ一人の選考委員である荻原浩氏によって受賞作に選ばれたのは、一九八七年東京都生まれの小島達矢氏の作品「ベンハムの独楽」。
 今年三月に大学を卒業した後、現在、ストリートダンサーとして活躍中という、異色の経歴の持ち主です。受賞作は来年一月に、新潮社から刊行されます。ご期待ください。
 なお、次回第六回の選考委員は、『風が強く吹いている』『私が語りはじめた彼は』『まほろ駅前多田便利軒』などの作品でおなじみの、三浦しをん氏です。詳しい要項は、三五頁掲載の募集要項をご覧ください。
◇村上春樹氏の『1Q84 BOOK1・BOOK2』が第六十三回毎日出版文化賞文学・芸術部門を、村田沙耶香氏の『ギンイロノウタ』が第三十一回野間文芸新人賞を、奥泉光氏の『神器―軍艦「橿原」殺人事件』(上・下)が第六十二回野間文芸賞を、それぞれ受賞しました。
◇二〇〇九年十一月号掲載、ミランダ・ジュライ「あざ」(岸本佐知子訳)
Birthmark from NO ONE BELONGS HERE MORE THAN YOU by Miranda July (C)2007, Miranda July
Japanese translation rights arranged with The Wylie Agency(UK) Limited, through The Sakai Agency, Inc.

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。