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[白石一文『砂の上のあなた』刊行記念]

波 2010年10月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2010/09/27

発売日 2010/09/27
JANコード 4910068231000
定価 105円(税込)

塩野七生『十字軍物語1』
成毛 眞/カエサルが十字軍の戦記を書いたら

[白石一文『砂の上のあなた』刊行記念]
【インタビュー】白石一文/心を豊かにするただ一つの方法
金子ありさ/足の裏の熱砂

小池真理子『Kiss』
堀 茂樹/文学の出番

松井今朝子『西南の嵐―銀座開化おもかげ草紙―』
関川夏央/「戦中派」の物語

【絲山秋子『妻の超然』刊行記念対談】
辻原 登×絲山秋子/異色の「超然三部作」

蛭田亜紗子『自縄自縛の私』
吉田伸子/密やかに息をして、じっと

桜木紫乃『硝子の葦』
村上貴史/小説を読む悦楽

壇上志保『ガラスの煉獄―女刑務官あかね―』
池上冬樹/「刑務所」小説の、まさに白眉

中森明夫『アナーキー・イン・ザ・JP』
重松 清/二十年越しの「現在少年」の物語

安東みきえ『呼んでみただけ』
鴻巣友季子/奇跡を伝える「ものがたり」の力

ポール・オースター『オラクル・ナイト』
栗田有起/物語内物語内物語

トマス・ピンチョン『逆光(上・下)』(トマス・ピンチョン全小説)
大森 望/(詐欺のような)美しい結末へ

藤原正彦『管見妄語 大いなる暗愚』
諸田玲子/迷える子羊たちに絶好のバイブル

ジョン・ガイガー『奇跡の生還へ導く人―極限状況の「サードマン現象」―』
伊豆原 弓/サードマンに遭遇したことありますか?

岩村 充『貨幣進化論―「成長なき時代」の通貨システム―』(新潮選書)
北村行伸/革新的な貨幣の未来予想図

石原たきび・編『酔って記憶をなくします』(新潮文庫)
石原たきび/魔法にかかったとしか思えないファンタジー

上原善広『異形の日本人』(新潮新書)
上原善広/虐げられた人びとへの旅

小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞 決定発表

コラム
江原啓之『スピリチュアル・ストーリーズ』刊行開始!
「考える人」─福岡伸一と歩くドリトル先生のイギリス
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
新連載 片山杜秀/未完のファシズム
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第7回
山折哲雄/長谷川伸と日本人 第10回
蓮池 薫/拉致と決断 第6回
宮城谷昌光/古城の風景 第88回 荒子城
吉川 潮/【対談】寿限無の言い分 三遊亭円丈(後篇)
佐木隆三/わたしが出会った殺人者たち 第5回
小林朋道/ヒト、動物に会う 第5回
三田 完/モーニングサービス 第2回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、『砂の上のあなた』が九月三十日に刊行される、白石一文氏。写真に写っているのは、白石氏と父君で作家の白石一郎氏です。
◇今月号で宮城谷昌光氏の「古城の風景」の連載が終了します。二〇〇三年七月号から、長期にわたるご愛読ありがとうございました。
 七年以上にわたる連載で、巡った場所は、神奈川県から愛知県まで、訪ねた城址・古戦場は優に一〇〇をこえます。
 知多半島の古城から、織田信長が天下への第一歩を記した桶狭間合戦の激戦の古城までを巡る、シリーズ完結編となる第七巻の『古城の風景 7―桶狭間合戦の城―』が、この九月に刊行されました。
 既刊は、東三河に点在する徳川家の重臣、菅沼・奥平・本多家の古城を訪ねた『1 菅沼の城 奥平の城』を筆頭に、『2 松平の城』(東三河の徳川家康ゆかりの古城)、『3 一向一揆の城』(家康最大の危機となった三河一向一揆の古城)、『4 徳川の城 今川の城』(駿河の古城)、『5 北条の城』(駿河・伊豆の古城)、『6 北条水軍の城』(相模の古城)の六巻も好評発売中です。古城巡りファンはもちろんのこと、戦国時代ファンの皆様も、この機会にあわせてお読み戴ければ幸いです。
第九回小林秀雄賞(主催・財団法人新潮文芸振興会)が決定しました。今回の受賞作は、加藤陽子氏の『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(朝日出版社)。
 また、第九回新潮ドキュメント賞(主催・財団法人新潮文芸振興会)は、熊谷晋一郎氏の『リハビリの夜』(医学書院)が受賞しました。
 選評など詳しい選考の結果は、小林秀雄賞は、「考える人」秋号(十月四日発売)で、新潮ドキュメント賞は、「新潮45」十月号(発売中)で、それぞれ御覧ください。
◇今月号より、片山杜秀氏の連載「未完のファシズム」が始まります。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。