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[原田マハ『楽園のカンヴァス』刊行記念特集]

波 2012年2月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/01/27

発売日 2012/01/27
JANコード 4910068230225
定価 105円(税込)

金井美恵子『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』
若島 正/風俗小説仕立ての芸術小説

左能典代『青にまみえる』
村田喜代子/さあ、永遠の話をしよう

田中長徳『屋根裏プラハ』
沢木耕太郎/孤独な散歩者

[原田マハ『楽園のカンヴァス』刊行記念特集]
大森 望/前代未聞の“鑑定対決”エンターテインメント
【インタビュー】原田マハ/二十五年間ずっと書きたかった小説

伊東 潤『義烈千秋 天狗党西へ』
末國善己/TPP問題と重なる幕末悲劇

せきしろ『逡巡』
金原瑞人/神は死んだとか、小説は死んだとか言われるけど

三田 完『モーニングサービス』
やすみりえ/生き生きと描かれた浅草の人情歳時記

水沢秋生『ゴールデンラッキービートルの伝説』(第七回新潮エンターテインメント大賞受賞作)
吉田伸子/子どもという“可能性”を信じること

ダニエル・アラルコン『ロスト・シティ・レディオ』(新潮クレスト・ブックス)
管 啓次郎/名前のない国に呼びかける声

[タン・ロミ『日中百年の群像 革命いまだ成らず』刊行記念特集]
加藤 徹/立体的な「革命」の人物像
タン・ロミ/「暗黒の時代」へのヒント

西尾幹二『天皇と原爆』
新保祐司/歴史哲学者の衷心からの直言

杉山隆男『昭和の特別な一日』
池上冬樹/時代の感触、町の記憶、精神の衣食住

コロッケ『母さんの「あおいくま」』
コロッケ/人生は、この五つの言葉
【清武英利『「巨人軍改革」戦記』刊行記念対談】
江上 剛×清武英利/人を育て、活かす組織とは

本郷恵子『蕩尽する中世』(新潮選書)
本郷恵子/模索する中世史像

戸矢理衣奈『銀座と資生堂―日本を「モダーン」にした会社―』(新潮選書)
福原義春/街と企業の切っても切れない関係

櫻田 淳『「常識」としての保守主義』(新潮新書)
谷垣禎一/大らかな自信を

勝本華蓮『尼さんはつらいよ』(新潮新書)
勝本華蓮/業深き尼さんの告白

今江祥智・編『それはまだヒミツ―少年少女の物語―』(新潮文庫)
今江祥智/もっと子どもの本を
【『高峰秀子 暮しの流儀』刊行記念】
【安野光雅氏インタビュー】今明かす! 高峰秀子との秘めたる“恋”(?)

コラム
とんぼの本をよむ
考える人─ひとは山に向かう
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
【短期集中連載エッセイ】
海堂 尊/キューバ・ラブワゴン 第1話

津村節子/時のなごり 第5回
蓮池 薫/拉致と決断 第22回
中村うさぎ×池谷裕二/オトナのための脳科学 第5回
阿部和重/幼少の帝国 成熟を拒否する日本人 最終回
永田和宏/河野裕子と私 歌と闘病の十年 第9回
片山杜秀/未完のファシズム 最終回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第23回
椎名 誠/ぼくがいま、死について思うこと 第6回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第2回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、昨年末に一周忌を迎えた女優・高峰秀子さん。夫君の松山善三氏との結婚秘話を記した文章は、「週刊文春」二〇〇一年一月十八日号の「私のご贔屓」というコーナーに「松竹梅」という題名で執筆されたエッセイの生原稿です。映画の一場面のようなツーショットの写真は、残念ながら撮影年や撮影場所、撮影者が不明です。この写真も収録されている『高峰秀子 暮しの流儀』(とんぼの本)は高峰さんと松山氏、そして養女の斎藤明美さんの三人の共著で、高峰さんが生前、出版を了解してくれていた「事実上、最後の書籍」になります。手提げバッグ、ブローチ、コーヒーカップ、箸、お椀、一輪挿し、台所道具……本書には高峰さんの愛用品が多くの写真で紹介されています。自分が選んだ物を慈しみながら、つつましく簡素に暮らす。そんな心豊かな日々の過し方を教えてくれる高峰秀子さんの人生の流儀に、ぜひ触れていただきたいと思います。巻末に収録されている初公開の愛猫の写真も一見の価値あり、です。
◇今月号で阿部和重氏『幼少の帝国 成熟を拒否する日本人』、片山杜秀氏『未完のファシズム』の二本の連載が終了します。ご愛読、有難うございました。いずれも小社より単行本化を予定しています。
◇来月号からは桜木紫乃氏、三山喬氏という二人の気鋭の書き手の新連載がスタートします。『ラブレス』(小社刊)で今期直木賞にもノミネートされた桜木氏は釧路市出身で、北海道を舞台に激しくも切ない女性の人生を、静謐ながら胸に焼きつけられるような文章で描き続けています。三山氏はフリーのジャーナリストで、朝日新聞に投稿された短歌の詠み手を尋ねて横浜のドヤ街を丹念に取材して描いた『ホームレス歌人のいた冬』(東海教育研究所)が昨年出版され、新聞、雑誌等で絶賛されました。小説とノンフィクション、それぞれの分野で注目を集めている二人の新作にご期待ください。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。