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【『勝ち逃げの女王―君たちに明日はない4―』刊行記念インタビュー】垣根涼介/「仕事」が一番楽しい!

波 2012年6月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/05/28

発売日 2012/05/28
JANコード 4910068230621
定価 105円(税込)

【『いつか、この世界で起こっていたこと』刊行記念インタビュー】
黒川 創/場所と人との記憶をたどって
【刊行記念スペシャル企画】村上春樹『1Q84』文庫化・全6冊
綿矢りさ(文)×安西水丸(絵)/『1Q84』めぐり

都甲幸治『21世紀の世界文学30冊を読む』
池澤夏樹/ほんとかな、と思った

ポール・オースター『ブルックリン・フォリーズ』
池内 紀/人間喜劇のゆたかさ

リュドミラ・ウリツカヤ『女が嘘をつくとき』(新潮クレスト・ブックス)
中島京子/嘘のない人生はない
【『勝ち逃げの女王―君たちに明日はない4―』刊行記念インタビュー】
垣根涼介/「仕事」が一番楽しい!

[朝倉かすみ『とうへんぼくで、ばかったれ』刊行記念特集]
宮下奈都/「ささやか」ではないおかしみ
【インタビュー】朝倉かすみ/すべりっぷり、ころびっぷり

谷村志穂『尋ね人』
ピーコ/女流作家の親友

[孔 枝泳『トガニ』刊行記念特集]
乃南アサ/絶望するにはまだ早い
蓮池 薫/不条理と戦う道

【『日本の聖域 偽装の国』刊行記念インタビュー】
湯浅次郎/権力との緊張関係を貫く

井上 亮『焦土からの再生―戦災復興はいかに成し得たか―』
秦 郁彦/「戦災復興」から教訓を汲みとる

[阿部和重『幼少の帝国』刊行記念特集]
濱野智史/幼少と成熟は二項対立ではない
【インタビュー】阿部和重/初めてのジャンルへの挑戦

太田和彦『太田和彦の居酒屋味酒覧〈第三版〉―精選173―』
角野卓造/カウンター目線で語る「いい人、いい酒、いい肴」

新田次郎『つぶやき岩の秘密』/『小説に書けなかった自伝』(ともに新潮文庫)
木村行伸/新田文学の求心力
【『レジェンド』(新潮文庫)刊行記念インタビュー】
マリー・ルー/「リアルな抑圧社会」を描く

河内 孝『自衛する老後―介護崩壊を防げるか―』(新潮新書)
河内 孝/介護の総力戦が始まった

【訳し下ろし短篇】ブライアン・エヴンソン(柴田元幸訳)/年下

特集[新潮選書45周年記念]
海堂 尊『ほんとうの診断学―「死因不明社会」を許さない―』
海堂 尊/医師の仕事の本質とは

山折哲雄『髑髏となってもかまわない』
山折哲雄/日本人の奥底にあるもの

石川九楊『説き語り 中国書史』
奥本大三郎/無筆の時代

片山杜秀『未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―』
片山杜秀/昭和の軍人たちは何を考えていたのか

森 史朗『ミッドウェー海戦』
【対談】山内昌之×森 史朗/「本日敵出撃ノ算ナシ」の衝撃

新潮選書45年ベスト&ロングセラー

第二十五回三島由紀夫賞・山本周五郎賞決定発表

コラム
とんぼの本をよむ
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
【新連載】梨木香歩/冬虫夏草 続・家守綺譚 第1回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第27回
斎藤明美/高峰秀子の言葉 第11回
蓮池 薫/拉致と決断 第26回
中村うさぎ×池谷裕二/オトナのための脳科学 最終回
桜木紫乃/モノトーン 第4回
三山 喬/トスキナの唄 流浪のキネマ屋・古海卓二伝 第4回
椎名 誠/ぼくがいま、死について思うこと 第10回
津村節子/時のなごり 第9回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第6回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、垣根涼介氏。書かれている言葉は、リストラ請負人・村上真介とリストラ対象者との攻防を描く人気シリーズ最新刊『勝ち逃げの女王―君たちに明日はない4―』から、真介と面接をすることになった三十代男性サラリーマンの心の叫びです。山本周五郎賞を受賞したシリーズ第一作『君たちに明日はない』が刊行されたのは二〇〇五年。当時は、リストラを専門に引き受ける会社という発想が面白い、と評されましたが、この七年の間にリストラのアウトソーシングは特別なことではなくなりました。第四弾となる今作にもリストラを必要とする様々な会社が登場しますが、主人公の真介が問いかける疑問はずっと変わらない、と著者の垣根さんは語ります。このシリーズにかける思いは、著者インタビューをお読みください。なお、五月二十九日(火)午後六時半より東京のリブロ池袋本店で、垣根さんのサイン会が行われます。お問い合わせは電話03-5949-2910(リブロ)までお願いします。
◇作家・中村うさぎさんと脳研究者の池谷裕二氏の対談「オトナのための脳科学」の連載が今月号で終了します。ご愛読、有難うございました。中村さんの奔放な発想と池谷氏の該博で、脳の不可思議から人間存在の根源にまで話題が拡がった異色の対談は、小社より単行本として刊行の予定です。
◇「人の一生はおびえ慄えて縮むほど大事なものではない……されば猛く生きよ」と説くショーペンハウアー『幸福について―人生論―』(新潮文庫)が、今年二月にテレビ番組で紹介されて以来、売れ続けています。これまでは数年に一度の重版だったのが、今年だけですでに六万部を増刷しました。一方、日本人には伝統的に「現世的で世俗的で利己的な幸福を捨てるところに真の幸せがある」という思考があった、と指摘する佐伯啓思氏の『反・幸福論』(新潮新書)も、反響を呼んでいます。自然と文明の狭間で真の幸福について自問を迫られている今、考えるよすがとなる二冊です。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。