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[綿矢りさ『ひらいて』刊行記念特集]

波 2012年8月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/07/27

発売日 2012/07/27
JANコード 4910068230829
定価 105円(税込)

【インタビュー『雲の都』完結にあたって】
加賀乙彦/八十年がすべて詰まっている小説

西川美和『その日東京駅五時二十五分発』
最相葉月/二人と、二人以外

デヴィッド・ギルモア『父と息子のフィルム・クラブ』
高見 浩/映画がもたらす心温まる奇跡

【『残穢』刊行記念インタビュー】
小野不由美/怨みを伴う死は「穢れ」となる。

竹本健治『かくも水深き不在』
宮内悠介/切り札乱舞の新作

小野寺史宜『転がる空に雨は降らない』
北上次郎/強くはない私たちのために

[綿矢りさ『ひらいて』刊行記念特集]
いしいしんじ/恋愛の幾何学模様に風が吹いて
【インタビュー】綿矢りさ/根源的で普遍的な愛をめぐる小説

橋本 治『浄瑠璃を読もう』
橋本 治/義太夫節が体に入ってしまったので

玄侑宗久『祈りの作法』
大城立裕/とり返しのつかないことを

[永田和宏『歌に私は泣くだらう』刊行記念特集]
川本三郎/詩神が二人に近づいた時
梯 久美子/妻に捧げた長大な挽歌、相聞歌

秋尾沙戸子『スウィング・ジャパン―日系米軍兵ジミー・アラキと占領の記憶―』
片岡義男/全編を流れるジャズの音色

内田宗治『関東大震災と鉄道』
今尾恵介/大震災に立ち向った鉄道員

『明治天皇大喪儀写真―縮刷複製版―』(監修・解説 橋爪紳也)
新潮社出版部/明治大帝の崩御からちょうど100年

【内田 樹『ぼくの住まい論』刊行記念対談】
内田 樹×小林直人/凱風館の“ふるさと”を訪ねて

歌代幸子『精子提供―父親を知らない子どもたち―』
角田光代/すでにそこにあるいのち

鳴海 風『江戸の天才数学者―世界を驚かせた和算家たち―』(新潮選書)
上野健爾/数学の天才、信念の天才

柳田由紀子『二世兵士 激戦の記録―日系アメリカ人の第二次大戦―』(新潮新書)
柳田由紀子/なぜ『山河燃ゆ』は全米放映中止になったのか?

ライマン・フランク・ボーム『オズの魔法使い』(新潮文庫)
森 絵都/少女よ、軽やかに進め!

コラム
考える人─笑いの世界は広い
とんぼの本をよむ
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
【新連載】吉田篤弘/ソラシド 第1回
津村節子/時のなごり 第11回
梨木香歩/冬虫夏草 続・家守綺譚 第3回
斎藤明美/高峰秀子の言葉 第13回
桜木紫乃/モノトーン 第6回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第8回
三山 喬/トスキナの唄 流浪のキネマ屋・古海卓二伝 第6回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第29回
椎名 誠/ぼくがいま、死について思うこと 第12回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、綿矢りささんです。七月末に発売される新刊『ひらいて』は、女子高生が主人公の恋愛小説で「ひらく」という言葉に、著者の強い思いが込められています。内容については、いしいしんじさんの書評と著者インタビューをお読みいただきたいと思いますが、その綿矢さんが描いてくれた、何とも可愛らしい葉っぱのキャラクターの名前は「発芽ちゃん」。ご本人によると、中学生の頃からノートの片隅などに描き続けてきた、とても愛着のあるキャラだそうです。今回の掲載にあたり、「発芽が雑誌のカバーを飾る日がくるとは、感無量です」とのメッセージをいただきました。
◇二〇一〇年に癌で他界された女流歌壇の第一人者・河野裕子さんと過した最後の日々を、細胞生物学者で歌人の夫、永田和宏氏が綴った「河野裕子と私 歌と闘病の十年」は、昨年から今年にかけて本誌で連載され、虚飾の無い烈しい夫婦愛の物語が大きな反響を呼びました。今月、『歌に私は泣くだらう―妻・河野裕子 闘病の十年―』と改題の上、単行本として刊行されましたが、この本を原案にしたドラマがNHK-BSで放映されます。タイトルは「うたの家~歌人・河野裕子とその家族~」で、夫婦を演じるのは風間杜夫とりりィの二人。放送は八月二十六日(日)の予定です。
◇本誌に掲載された書評、インタビュー、対談がインターネット上でいつでも読めるようになりました。弊社の電子書籍サイト「新潮ライブ!」に開設したページに、すでに五月号掲載分からアップしています(著者の要望により非掲載のものもあります)。アドレスは以下の通りです。
http://www.shincho-live.jp/ebook/nami/
◇すでにご承知のとおり、鹿島田真希さんが『冥土めぐり』で第一四七回芥川賞を受賞されました。先月号のこの欄で鹿島田さんの新連載の予告をしましたが、都合により少し遅れて、一〇月号から連載開始予定です。どうぞご期待ください。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。