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[江國香織『犬とハモニカ』刊行記念特集]

波 2012年10月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/09/27

発売日 2012/09/27
JANコード 4910068231024
定価 105円(税込)

[江國香織『犬とハモニカ』刊行記念特集]
綿矢りさ/小説の窓
【インタビュー】江國香織/旅と恋をめぐる六つの物語

松家仁之『火山のふもとで』
川上弘美/優美

梨木香歩『エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―』
田中比呂之/旅の「心残り」を埋める

リチャード・パワーズ『エコー・メイカー』
茂木健一郎/乱流の中の力学こそが

道尾秀介『ノエル―a story of stories―』
【対談】板倉俊之×道尾秀介/小説に限界はない

[林 真理子『アスクレピオスの愛人』刊行記念特集]
山田美保子/個人性と社会性の黄金バランス
進藤奈邦子/「作家・林真理子」に書かれるということ

越谷オサム『いとみち 二の糸』
藤田香織/青春ど真ん中! どこまでも続け「いと」の「みち」!

平山瑞穂『僕の心の埋まらない空洞』
大矢博子/ストーカーの〈分析〉、検事の〈衝動〉

渡部直己『日本小説技術史』
【インタビュー】渡部直己/「小説」と「人生」の怖るべき逆説

桑田佳祐『桑田佳祐 言の葉大全集 やっぱり、ただの歌詩じゃねえか、こんなもん』
鈴木光司/桑田佳祐は詩人である

[高橋秀実『「弱くても勝てます」』刊行記念特集]
【インタビュー】青木秀憲×聞き手・高橋秀実/打率2割でいい、強く振るなら
大越健介/開成野球部のどでかいエンジン

原 武史『レッドアローとスターハウス―もうひとつの戦後思想史―』
宇野重規/鉄道と団地がうんだ、新しい戦後思想史

平野秀樹『日本、買います―消えていく日本の国土―』
安田喜憲/国土を守る法整備を急げ

[鴨頭嘉人『人生で大切なことはみんなマクドナルドで教わった』刊行記念特集]
香取貴信/人は働くことを通して成長する
【インタビュー】鴨頭嘉人/マクドナルドこそ僕の学校だった

『みんな十四歳だった!―よしもと芸人が語る、何者でもなかった「あの頃」の話―』(新潮ムック)
新潮社企画編集部/今だからこそ、伝えたい

赤坂憲雄『3・11から考える「この国のかたち」―東北学を再建する―』(新潮選書)
津島佑子/「東北」の記憶

宮崎正勝『海図の世界史―「海上の道」が歴史を変えた―』(新潮選書)
山田吉彦/海洋国家の国民として持つべき「海洋史観」入門書

佐藤智恵『外資系の流儀』(新潮新書)
佐藤智恵/日本人と外資系企業

佐藤賢一『女信長』(新潮文庫)
重里徹也/奇想が照らし出す歴史の一面

コラム
考える人─「歩く」ことで広がる世界
三橋曉の海外エンタ三つ巴
とんぼの本をよむ

小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞 決定発表

連載
【新連載】鹿島田真希/少女のための秘密の聖書 第1回
梨木香歩/冬虫夏草 続・家守綺譚 第5回
斎藤明美/高峰秀子の言葉 第15回
吉田篤弘/ソラシド 第3回
桜木紫乃/モノトーン 第8回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第10回
三山 喬/トスキナの唄 流浪のキネマ屋・古海卓二伝 第8回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第31回
津村節子/時のなごり 第13回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、道尾秀介さんです。デビュー以来、ホラー、ミステリー、コンゲーム、青春小説など既成のジャンルの枠を飛び越えて、独自の小説世界を切り拓いてきた道尾さん。作品には常に巧みな仕掛けが張り巡らされており、読者を存分に楽しませてくれます。思いもよらぬ展開と鮮やかな収束は「道尾マジック」としてファンの心を掴んでいますが、最新刊『ノエル―a story of stories―』でもその技はますます冴え渡っています。“マジック”の一端は「インパルス」の人気芸人にして最近は小説でも異才ぶりを発揮している板倉俊之さんとの対談でも窺えますが、表紙の言葉はその道尾さんが常日頃、執筆の合間に行なっている「字の落書き」から生れた歌? だそうです。小説を書く時はパソコンに向いますが、こうして気ままに思いついた言葉を手書きで紙の余白に書き連ねることが、一種の気分転換になるのだとか。「作中作」を駆使して描かれた新作の、意外な舞台裏をお楽しみください。
◇金原ひとみさんの『マザーズ』(小社刊)が今年のBunkamuraドゥマゴ文学賞(東急文化村主催)に選ばれました。毎年、任期一年のひとりの選考委員によって受賞作が選ばれるというユニークな形式の文学賞で、第22回目の今年の選考委員は高樹のぶ子氏。「母親たちの、誰も触れたくない、触れられたくない部分を、くもりの無い視線で捉えた」と授賞理由を述べた上で、「女性文学史に残る作品」と極めて高い評価をされています。
◇小社ではこのほど「個人向け自費出版」および「法人・団体向けカスタム出版」事業をスタートしました。小説、自分史を本にしたい方、会員誌、記念誌を発行する法人など、それぞれのご要望に応じて、編集者、装幀者、校正者がチームを組んで本作りにあたります。手続き、料金などの詳細は小社ホームページをご覧ください。
http://www.shinchosha.co.jp/tosho/

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。