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【白石一文『快挙』刊行記念インタビュー】

波 2013年5月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2013/04/27

発売日 2013/04/27
JANコード 4910068230539
定価 105円(税込)

[白石一文『快挙』刊行記念インタビュー]
白石一文/夫婦であることが、夫婦

阿川弘之『鮨 そのほか』
安岡治子/不思議なご縁

乙川優三郎『脊梁山脈』
三浦しをん/国家と人間、繁栄と文化を問う物語

絲山秋子『忘れられたワルツ』
豊崎由美/胸をざわつかせる不穏な空気

[村田喜代子『ゆうじょこう』刊行記念特集]
【インタビュー】村田喜代子/少女は、書くことで考え始めた
田中弥生/もう一つの近代日本を描く、魔術的教養小説

玄侑宗久『光の山』
ロバート・キャンベル/怒り、無念、祈りはやがて物語へ

近藤史恵『キアズマ』
大矢博子/なぜそこまでして走るのか

梅 佳代『のと』
朝井リョウ/「普通」が「特別」になる秘密

月原 渉『月光蝶―NCIS特別捜査官―』
千街晶之/最も難攻不落の密室

タナダユキ『復讐』
杉江松恋/耐え難い記憶とその後の長い時間

[椎名 誠『ぼくがいま、死について思うこと』刊行記念インタビュー]
椎名 誠/死後の世界はけっこう楽しみです

高山貴久子『姫神の来歴―古代史を覆す国つ神の系図―』
池田千晶/天照大御神は「天つ神」ではなかった!

渡辺 靖『アメリカン・コミュニティ―国家と個人が交差する場所―』(新潮選書)
原 武史/トクヴィルを受け継ぐ新たな古典

杉崎行恭『百駅停車―股裂き駅にも停まります―』
古今亭駒次/「はみだした駅」を愛でる視線

井村雅代 松井久子『教える力―私はなぜ中国チームのコーチになったのか―』
松井久子/教えるために生きている「職人」の指導者哲学

川島蓉子『エスプリ思考―エルメス本社副社長、齋藤峰明が語る―』
黒川光博/エルメスと虎屋

リチャード・パワーズ『幸福の遺伝子』
円城 塔/先にSFが書くべきだった

竹田武史 ヘルマン・ヘッセ 高橋健二『シッダールタの旅』
姜 尚中/写真が文学と一体化する瞬間

ジェフリー・アーチャー『時のみぞ知る―クリフトン年代記―第1部』上・下(新潮文庫)
瀧井朝世/サーガの巨匠が戻ってきた

新潮新書10周年に寄せて
養老孟司/薄くて濃い

[山本周五郎と私]
葉室 麟/人生の問い

コラム
とんぼの本をよむ
考える人-一番気分の乗った時の小林秀雄の声
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
鹿島田真希/少女のための秘密の聖書 第8回
斎藤明美/高峰秀子の言葉 第22回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第38回
池上 彰/超訳 日本国憲法 第2回
吉田篤弘/ソラシド 第10回
桜木紫乃/モノトーン 第15回
梨木香歩/冬虫夏草 続・家守綺譚 第12回
嵐山光三郎/芭蕉という修羅 第2回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第17回
江 弘毅/有次と庖丁 第6回
津村節子/時のなごり 第20回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は阿川弘之氏です。単行本未収録の短篇、随筆などで構成した新刊『鮨 そのほか』は「おそらく、七十年近い我が文筆生活を締め括る最後の一冊となるだらう」という作品集で、諸国を巡廻した孔子が発した一言のごとくこの本を楽しんでもらいたいという思いが、揮毫していただいた言葉に込められています。また、本文の書評で安岡治子さんも触れていますが、「あとがき」からは先般逝去された畏友・安岡章太郎氏への追慕の念が切々と伝わってきます。ことに「ゴリ(編集部注・安岡氏のニックネーム)のゴリらしい変つた人柄、ゴリラを偲ばせる風貌姿勢に、私は一種奇妙な親近感を抱いてゐた」というユーモラスな描写の後で、入居中の介護施設で本を乱読するうちに「安岡の作品の中に『質屋の女房』や『海辺の光景』ほど名高くはないけれど、後世へ残すに足る佳品が幾つも見付かるといふ事実」に気付いたと語り、読者に安岡氏の作品を読むことを強く推奨するくだりは胸に響きます。
◇小谷野敦さんの『日本人のための世界史入門』(新潮新書)が発売以来、順調に版を重ねて発行部数十万部を突破しました。新書判約二百七十頁で世界史の通史を書くという大胆極まりない試みに挑んだ本書の特徴の一つは、文芸評論の世界で知られる著者だけに随所に文学作品や映画の話が盛り込まれていること。ローマ帝国の興亡の項に夏目漱石『それから』が登場するなど、まさに縦横無尽の語り口です。その他、ピーピング・トムの由来、フランスに女王がいない理由、ルネッサンス期の美術に裸婦像が多い背景など興味をそそる話題も満載で、「歴史の知識は、だいたいでいい」と語る著者は読者に徒な記憶を強いることなく、歴史を楽しむ術を伝授してくれます。
◇ベオグラード生まれの女性作家テア・オブレヒトの『タイガーズ・ワイフ』(藤井光訳、新潮クレスト・ブックス)が二〇一三年本屋大賞(翻訳小説部門)を受賞しました。デビュー作の本書がベストセラーとなった彼女はいま全米で最注目の作家です。

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。