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[和田 竜『村上海賊の娘』刊行記念特集]

波 2013年11月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2013/10/28

発売日 2013/10/28
JANコード 4910068231130
定価 105円(税込)

[和田 竜『村上海賊の娘』刊行記念特集]
呉座勇一/最強の“あまちゃん”海賊
【インタビュー】和田 竜/四年をこの一作にかけた。

井上荒野『ほろびぬ姫』
小池真理子/「ふたりのあなた」と「私」

海堂 尊『ガンコロリン』
吉野 仁/黒いユーモアの向こうに

【『イン・ザ・ヘブン』刊行記念インタビュー】
新井素子/三十三年ぶりの短編集……です。

宇江佐真理『雪まろげ―古手屋喜十 為事覚え―』
吉田伸子/心のミストサウナ

宮本 輝『三十光年の星たち(上・下)』(新潮文庫)
棚部秀行/見えないものを見る

【佐々木 譲『獅子の城塞』刊行記念インタビュー】
佐々木 譲/信長の密命。それは、途方もない試練だった!

梨木香歩『冬虫夏草』
熊谷栄三郎/誰もがゴローを捜してる

ジョン・アーヴィング『ひとりの体で(上・下)』
江國香織/この世のすべての出来事の、圧倒的な一回性

荒木経惟『死小説』
荒木経惟/死を生きる

大貫妙子『私の暮らしかた』
保坂和志/響きあう小さな暮らし

今尾恵介監修『日本鉄道旅行地図帳 九州沖縄 大改訂2014』
田中比呂之/「ななつ星」の魅力をたっぷり積み込みました

窪寺恒己『ダイオウイカ、奇跡の遭遇』
窪寺恒己/最後のフロンティア、深海の謎を解く鍵

山田敏弘『ハリウッド検視ファイル―トーマス野口の遺言―』
大野曜吉/100歳まで「働く」意欲

野副正行『ゴジラで負けてスパイダーマンで勝つ―わがソニー・ピクチャーズ再生記―』
北谷賢司/ミッションは「どん底をトップに」

那須正則『醤から手作り!「白金劉安」の美肌料理』
那須正則/ひと手間かけて「美味しい」料理を食卓に

東大料理愛好会『アタマとカラダが冴える! 東大おやつ教室』
茂木健一郎/おやつで、脳のよろこびを深掘りする

細馬宏通『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか―アニメーションの表現史―』(新潮選書)
大塚英志/他領域へと広がる優れた「表現史」

藤原敬之『カネ遣いという教養』(新潮新書)
藤原敬之/現代の奇書!?

[山本周五郎と私]
宮部みゆき/不幸のみなもと

コラム
考える人─レロ書店の絵葉書で
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
【短期集中連載エッセイ】海堂 尊/スチャラカ三都物語 第4回
堀本裕樹、穂村 弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第3回
嵐山光三郎/芭蕉という修羅 第8回
斎藤明美/高峰秀子の言葉 第28回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第44回
池上 彰/超訳 日本国憲法 第8回
石原千秋/漱石と日本の近代 第5回
吉田篤弘/ソラシド 第16回
久間十義/デス・エンジェル 第4回
鹿島田真希/少女のための秘密の聖書 第14回
藤野千夜/D菩薩峠漫研夏合宿 第2回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第23回
津村節子/時のなごり 第26回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は和田竜さん。新刊『村上海賊の娘』は四年の歳月を費やして完成された、まさに渾身の一大歴史絵巻ですが、その単行本下巻の末尾には四頁もの「主要参考文献」リストが掲載されています。インタビューで「史料を探し、読むだけで一年間かかりました」と語っていますが、蒐集した史料の総量は実に段ボール二箱分。その中の一部を撮影させていただいたのが表紙の写真です。ご覧のようにそれぞれの文献には傍線や蛍光ペンの線が引かれ、細かい書き込みをした付箋が所狭しと貼られています。徹底した“和田流”史料読み込み術の一端を窺うことができると思います。ちなみに小説の舞台が明確にわかる歴史地図も自身で作成され、それをもとにした地図が単行本に収録されています。
◇山崎豊子さんが逝去されました。「週刊新潮」で連載を開始した「約束の海」が第一部を完成したのみで途絶えてしまうのは痛恨の極みですが、八十八歳の今際のきわまで衰えなかった執筆への情熱は偉大という以外に言葉が見つかりません。小誌でも作品刊行のたびに小説への強く烈しい思いを語っていただきました。「小説の最初の一行を書き始めたら、完結させるまでは日々牢獄の思いで書斎に入っていますから、最終回を書き終えたとたん、(中略)終わった、出獄! と叫びながら、廊下をとび回るのです」(一九八三年八月号)。「作家として、書くべきことを書く勇気を失うことは死を意味する。今後も書かなければならないことを書く勇気を持ちつづけていきたいと思っています」(一九九九年九月号)。不世出の“全身小説家”のご冥福をお祈り申し上げます。
◇今年のノーベル文学賞はアリス・マンローさんが受賞しました。「短篇の女王」と称される彼女の代表作『イラクサ』『林檎の木の下で』『小説のように』は、いずれも新潮クレスト・ブックスに収録されています。緊急増刷しましたので、この機会にぜひご一読ください。

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。