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[湯本香樹実『夜の木の下で』刊行記念特集]

波 2014年12月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2014/11/27

発売日 2014/11/27
JANコード 4910068231246
定価 102円(税込)

[湯本香樹実『夜の木の下で』刊行記念特集]
野崎 歓/珠玉の短編集というほかはない
東 直子/魂の響きあいとしての対話

[『逢魔』刊行記念インタビュー]
唯川 恵/エロティックな奇譚集

村上春樹 カット・メンシック『図書館奇譚』
カット・メンシック/ムラカミの重層を描くということ

上田岳弘『太陽・惑星』
大森 望/純文学とSFの衝突から生まれた超新星

[沢木耕太郎『波の音が消えるまで』刊行記念特集]
福本伸行/「バカラ」というリングで燃えつきるために
北上次郎/これが博打小説だ

コルム・トビーン『マリアが語り遺したこと』(新潮クレスト・ブックス)
横山貞子/ある母親の記憶

塩田武士『氷の仮面』
塩田武士/純米酒のような

古谷田奈月『ジュンのための6つの小曲』
石井千湖/ひとりでは奏でられない美しい音楽

森 晶麿『かぜまち美術館の謎便り』
吉田伸子/閉じたままの想いを解き放つ風

野口 卓『隠れ蓑―北町奉行所朽木組―』(新潮文庫)
香山二三郎/捕物帳にしてビルドゥングス・ロマン

長谷部浩『菊之助の礼儀』
矢野誠一/舞台に咲く美の秘密

立川談志『努力とは馬鹿に恵えた夢である』
和田尚久/謎のないスフィンクス

西村雄一郎『清張映画にかけた男たち―「張込み」から「砂の器」へ―』
中尾清一郎/メイド・イン・佐賀の映画本

山本貴光『文体の科学』
安田 登/身体が変容する読書体験

南田佐智恵『明日はわが身 若年性認知症の夫と生きる』
南 美希子/個人の体験を超えた「夫婦間介護」の苦悩と真実

岩瀬大輔『直感を信じる力―人生のレールは自分で描こう―』
岩瀬大輔/自分にしかできない生き方をしよう

澤上篤人『長期投資家の「先を読む」発想法―10年後に上がる株をどう選ぶのか―』
澤上篤人/殺伐とした経済社会を変革するには?

[新潮選書『ビッグデータの罠』刊行記念インタビュー]
岡嶋裕史/無料のものを甘く見ない方がいい

オプティ美保 高崎順子『パリ生まれ プップおばさんの料理帖』
高崎順子/美食の国の、幸せごはん。

モギサン モギ奥サン『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』
はあちゅう/普通が特別であることに気付く瞬間

太田和彦『居酒屋を極める』(新潮新書)
太田和彦/好きだからいつまでも

コラム
とんぼの本編集室だより
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
【新連載】ドリアン助川/ニューヨーク・サン・ソウル 第1回
池上 彰/超訳 日本国憲法 第21回
石原千秋/漱石と日本の近代 第18回
津村記久子/やりなおし世界文学 第7回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第16回
嵐山光三郎/芭蕉という修羅 第21回
森 まゆみ/子規の音 第11回
木皿 泉/カゲロボ日記 第8回
久間十義/デス・エンジェル 第17回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第57回
末盛千枝子/父と母の娘 第9回
津村節子/時のなごり 第39回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、湯本香樹実さんです。『岸辺の旅』以来、四年半ぶりに刊行される新刊『夜の木の下で』は青少年期にこころに刻まれた印象的な風景や出来事をめぐる六篇の物語です。家の庭に生えるアオキの根元にあった海の底のように静かな空間。通った女子高の「手作りロボット」のような焼却炉。性の芽吹きを感じながら乗っていたママチャリのサドル。姉弟で命を繋ぎとめようと試みた三匹の仔猫……家族、友人の姿と共に焼きついたそれらの記憶は郷愁や後悔を伴いながら主人公たちの胸中で育まれ、人生に深い彩りをもたらします。野崎歓さんが評するように「響きのうつくしい、気持ちのいい文章」で描かれた正真正銘の珠玉の作品集は、読みながら生きている一瞬に愛おしさを感じさせてくれる一冊です。表紙に書かれているのは、アオキの木の下が舞台の冒頭作「緑の洞窟」を象徴する言葉で、写真は名品が紡ぎだされた仕事場を撮影させていただきました。
◇小社とサザビーリーグがコラボして誕生した新しい文化発信型商業施設「la kagu(ラカグ)」が好評で、十月十日のオープン以来、多くの方に足を運んでいただいています。元々は小社の管理倉庫だった殺風景な一角が、隈研吾氏のデザインにより洗練されたファッション、雑貨、家具などのショップ、ゆったりとしたひと時を過ごせるカフェなどを備えた洒落たスポットに生まれ変わりました。二階のイベントスペースでは作家、文化人の方々を招いてのトークショー、朗読会などが行われており、こちらも満席続きです。今後も魅力的な企画が予定されていますので、左記ホームページをご覧の上、ぜひお立ち寄りください。
http://www.lakagu.com/
◇沢木耕太郎さんの新刊『波の音が消えるまで(上・下)』の刊行記念サイン会が、来月二度行われます。六日(土)14時から紀伊國屋書店梅田本店(電話06-6372-5821)、七日(日)14時から星野書店近鉄パッセ店(電話052-581-4796)です。詳しくは各書店までお問合わせください。

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。