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[矢作俊彦『フィルムノワール/黒色影片』刊行記念対談]宍戸 錠×矢作俊彦/エースのジョーとハードボイルド

波 2015年1月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2014/12/27

発売日 2014/12/27
JANコード 4910068230157
定価 102円(税込)

[矢作俊彦『フィルムノワール/黒色影片』刊行記念対談]
宍戸 錠×矢作俊彦/エースのジョーとハードボイルド

アリス・マンロー『善き女の愛』(新潮クレスト・ブックス)
加藤典洋/時間の酸をくぐって

垣谷美雨『避難所』
垣谷美雨/大震災で露わになったこと

[中山七里『月光のスティグマ』刊行記念特集]
【インタビュー】中山七里/女性という、もどかしい謎
永江 朗/ぼくらは誰もがスティグマを持っている

周木 律『アールダーの方舟』
村上貴史/知の塊の衝撃

北森 鴻 浅野里沙子『天鬼越―蓮丈那智フィールドファイルⅤ―』
千街晶之/作家の死を超えて生き続ける名探偵

[川本三郎『成瀬巳喜男 映画の面影』刊行特別対談]
香川京子×川本三郎/行きつく映画は成瀬巳喜男――名女優と語る〈静かな巨匠〉の面影

須賀しのぶ『紺碧の果てを見よ』
池上冬樹/反戦的でありながら同時に愛国的に

梶 よう子『ご破算で願いましては―みとや・お瑛仕入帖―』
中江有里/さわやかに笑って泣いて、心洗われる

北大路公子『最後のおでん―ああ無情の泥酔日記―』(新潮文庫)
菊地貴子/泥酔紳士淑女の皆様、お待たせいたしました

[『少女のための秘密の聖書』刊行記念インタビュー]
鹿島田真希/「本当」の物語をあなたに

[天久聖一『書き出し小説』刊行記念特集]
天久聖一/「語られなかった物語」たちの産声
長嶋 有/なぜ「書き出しだけ」が面白いのか

南 綾子『婚活1000本ノック』
ゴマブッ子/共感したら貴女もしくじり女

鮑子奈緒美『子どもも家族もぺろり完食! 新渡戸文化子ども園のすごい給食』
中原英臣/新渡戸稲造先生の「食育」を子どもたちに

野口悠紀雄『数字は武器になる―数の「超」活用法―』
ちきりん/日本再生の鍵を握る文系数学

太田 肇『がんばると迷惑な人』
太田 肇/がんばると、なぜ迷惑になるのか

コラム
考える人――年末年始、家族を見つめ直す
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
ミランダ・ジュライ(岸本佐知子訳)/マチルダとドミンゴ
池上 彰/超訳 日本国憲法 最終回
ドリアン助川/ニューヨーク・サン・ソウル 第2回
石原千秋/漱石と日本の近代 第19回
津村記久子/やりなおし世界文学 第8回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第17回
嵐山光三郎/芭蕉という修羅 第22回
森 まゆみ/子規の音 第12回
木皿 泉/カゲロボ日記 第9回
久間十義/デス・エンジェル 第18回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第58回
末盛千枝子/父と母の娘 第10回
津村節子/時のなごり 第40回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は矢作俊彦さんです。新刊『フィルムノワール/黒色影片』は、『リンゴォ・キッドの休日』『ロング・グッドバイ』などでお馴染みの元神奈川県警刑事・二村永爾が十年ぶりに復活した待望の長編ハードボイルドで、「日活映画100年記念」と銘打っています。女優からの依頼を受けて、「幻の映画フィルム」と消息不明の日本人青年を追って香港へと旅立った二村。その行く手で発生する連続射殺事件。はたして映画には何が写されていたのか――ミステリアスな物語が、クールで小気味よい文体で疾走していきます。読みどころの一つが“エースのジョー”こと日活の大スター宍戸錠が登場するシーンで、舌打ちしながら「夢のような話なんて言ったら、映画は何もはじまらねえ」と、痛快な台詞を決めてくれます。表紙の絵は、対談にも矍鑠とした姿で現れた宍戸氏の横顔と猥雑感漂う香港の建物を、矢作さんご自身の筆で描いていただきました。
◇最近、選挙の際に池上彰さんが政治家に対して行うインタビューが大評判です。先般の衆院選においても、テレビ東京の特番で各党党首らにぶつけた舌鋒鋭く本音を抉り出す質問の数々は実に爽快で、安倍首相にも憲法改正への意志を執拗に確認して回答を引き出していました。その池上さんの『超訳 日本国憲法』が今月号で連載終了となります。ご愛読いただき、有難うございました。来年四月に新潮新書として刊行の予定で、これから一層高まる憲法論議を考える上で必携の一冊になると思います。
◇米澤穂信さんの『満願』が2014年の「ミステリが読みたい!」(ハヤカワミステリマガジン)、「週刊文春ミステリーベスト10」、「このミステリーがすごい!」(宝島社)の3つのミステリランキングで1位に輝きました。これまで二冠という作品は幾つかありましたが、“三冠王”は史上初の快挙です。連作ではない短編集という最近はマイナーになった分野で生まれた傑作を、年末年始にぜひご堪能ください。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。