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[古川日出男『女たち三百人の裏切りの書』刊行記念特集]

波 2015年5月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2015/04/28

発売日 2015/04/28
JANコード 4910068230553
定価 102円(税込)


[古川日出男『女たち三百人の裏切りの書』刊行記念特集]
高橋源一郎/神々のたそがれ
川上弘美/壮大さを超える物語

筒井康隆『世界はゴ冗談』
清水義範/破壊して創造している小説

大江健三郎 古井由吉『文学の淵を渡る』
堀江敏幸/まだ先を見ている

阿刀田 高『地下水路の夜』
松本侑子/異世界へ連れ去られる快楽

宮城谷昌光『随想 春夏秋冬』
原田維夫/競馬で食べ繋がれていたとは……

麻耶雄嵩『あぶない叔父さん』
三橋 曉/黒々とした疑念が浮かび、やがて覆される

[磯崎憲一郎『電車道』刊行記念対談]
羽生善治×磯崎憲一郎/予想を超える面白さ

黒柳徹子『トットひとり』
ペリー荻野/徹子だから語れる「見事に生きた人」の話

[椎名 誠『孫物語』刊行記念特集]
【インタビュー】
椎名 誠/孫はすべてが宝もの

鳥越俊太郎/縦糸と横糸の妙技

西部 邁『生と死、その非凡なる平凡』
大竹まこと/でくのぼう杭につまずく

杉山隆男『私と、妻と、妻の犬』
樋口明雄/犬の視線、ひとの視線

平山瑞穂『遠すぎた輝き、今ここを照らす光』(新潮文庫)
瀧井朝世/最悪な再会の意外な効能

井上理津子『葬送の仕事師たち』
佐々涼子/死の「裏方」を知る

ミッツ・マングローブ『うらやましい人生』
壇 蜜/親愛なる面倒くさい人へ

魚川祐司『仏教思想のゼロポイント―「悟り」とは何か―』
佐々木 閑/日本仏教界を揺るがす大事件

笠谷和比古 黒田慶一『豊臣大坂城―秀吉の築城・秀頼の平和・家康の攻略―』(新潮選書)
徳川家広/子宮だった巨大城塞

山田みち子『相続なんか気にするな!―老後をもっと豊かにする「お金の生かし方」―』
山田みち子/そのお金は「遺産」ではなく、あなたの「財産」です

片田珠美『怒れない人は損をする!―人生を好転させる上手な怒りの伝え方―』
片田珠美/母への怒りを乗り越えて

佐藤智恵『テレビの秘密』(新潮新書)
佐藤智恵/朝ドラに見る視聴率の方程式

【コラム】
考える人-「計算」の時代を生きる
とんぼの本 編集室だより
新潮文庫で歩く日本の町/宮崎香蓮
三橋曉の海外エンタ三つ巴

【連載】
堀本裕樹、穂村 弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第21回
荒山 徹/歴史の極意・小説の奥儀 第2回
橘 玲/残酷すぎる真実 第3回
津村記久子/やりなおし世界文学 第12回
ドリアン助川/ニューヨーク・サン・ソウル 第6回
石原千秋/漱石と日本の近代 第23回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第62回
森 まゆみ/子規の音 第16回
A・A・ミルン作、阿川佐和子訳/ウィニー・ザ・プーと魔法の冒険 第2回
末盛千枝子/父と母の娘 第14回
木皿 泉/カゲロボ日記 第13回
津村節子/時のなごり 第44回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は黒柳徹子さんです。単行本と文庫を合わせて八百万部を超える国民的ベストセラーとなった『窓ぎわのトットちゃん』から三十五年、新刊『トットひとり』は書き継がれてきたトットちゃんシリーズの集大成とも言える書下ろしです。黒柳さんが「母さん」と呼んだ沢村貞子さん、「兄ちゃん」と呼んだ渥美清さんをはじめとする多くの芸能人、文化人との交友が愛情とユーモアたっぷりの筆で綴られています。登場する多くの方がすでに物故されていますが、黒柳さんの心中で今なお生き続けていることが伝わってくるビビッドな想い出の集積で、読みながらその方々が愛しくなるほどです。若き日の結婚未遂事件や、トレードマークの玉ねぎヘアの誕生秘話など、ご自身のとっておきのエピソードも満載の本書は、ご多忙のスケジュールの合間を縫って執筆され、何度も推敲を重ねられて完成しました。本のカバーに使われている写真は文中にも登場する篠山紀信氏撮影のセミヌードで、隣に置かれているのはNHKで女優をしていた頃のワンショット。マイクに頭をあずけて休憩するのが黒柳流だそうで、そのポーズを偶然撮影したトットちゃんお気に入りの一枚です。
◇北海道から沖縄まで、日本全国の民謡を訪ね歩いて綴った石田千さんの紀行エッセイ『唄めぐり』が発売されました。会津磐梯山、佐渡おけさ、黒田節といった日本人なら誰もが知っている“名曲”のほか、福島の復興を願って大友良英氏らが開催した盆踊りなどが取り上げられ、歌い手たちの息遣いが聴こえてくる好著です。その刊行を記念して、石田さんのトークイベントが五月一二日午後七時から、東京・新宿区の「la kagu」にて行われます。入場料は二千円、詳細は会場のホームページをご覧ください。http://www.lakagu.com/event
 また、唄う人々の表情を撮影した石井孝典さんの写真展が四月二九日~五月六日まで、恵比寿の「TRAUMARIS SPACE」で開催されます。五月二日には石井さんの兄のいしいしんじさんのイベントも行われます。お問い合わせはinfo@traumaris.jpまで。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。