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今月の表紙の筆蹟は、高村 薫さん。
[高村 薫『空海』刊行記念特集]

波 2015年10月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2015/09/28

発売日 2015/09/28
JANコード 4910068231055
定価 102円(税込)


[高村 薫『空海』刊行記念特集]
【インタビュー】高村 薫/空海を追い求め21世紀の日本を視る
南 直哉/空海が現代人ならと想像させる書
ジュンパ・ラヒリ 中嶋浩郎訳『べつの言葉で』(新潮クレスト・ブックス)
マイケル・エメリック/不完全であるという自由

島田荘司『新しい十五匹のネズミのフライ―ジョン・H・ワトソンの冒険―』
島田荘司/悲しみの歌に満ちたホームズ世界

佐々木譲『犬の掟』
千街晶之/大胆不敵なはなれわざ

篠田節子『となりのセレブたち』
北原みのり/葛藤する女と、葛藤を避ける男
[『影の中の影』刊行記念インタビュー] 月村了衛(聞き手・霜月 蒼)/ヒーローの物語は、てらいなく直球勝負で
こざわたまこ『負け逃げ』
窪 美澄/けもの道を全力で走り出す

乃南アサ『最後の花束―乃南アサ短編傑作選―』(新潮文庫)
香山二三郎/凄ワザ推理サスペンスの集大成

中野 翠『いちまき―ある家老の娘の物語―』
坪内祐三/二十年かけて完成させた「会いたかった人」のロングバージョン

小野寺史宜『ひりつく夜の音』
藤田香織/迷える四十代必読! 秋の夜長に大人泣き!

日和聡子『校舎の静脈』
池内 紀/胃袋と細胞分裂
[『世界一美しい本を作る男~シュタイデルとの旅 DVDブック』刊行記念] 【座談会】クラフト・エヴィング商會(吉田浩美 吉田篤弘)×新潮社装幀部 黒田 貴/美しい本ってなんだろう
大河内直彦『地球の履歴書』(新潮選書)
成毛 眞/本物の知がここにある

前間孝則『ホンダジェット―開発リーダーが語る30年の全軌跡―』
前間孝則/チャレンジ精神は死なない

河江肖剰『ピラミッド・タウンを発掘する』
橋本麻里/ピラミッドを作った人々のリアリティ

ランド・ポール 浅川芳裕訳『国家を喰らう官僚たち―アメリカを乗っ取る新支配階級―』
浅川芳裕/アメリカ大統領候補の衝撃告発

古谷経衡『左翼も右翼もウソばかり』
古谷経衡/思想的内戦の時代に
[吉村昭『吉村昭 昭和の戦争4 彼らだけの戦場が』 吉村昭を読む] 最相葉月/人間というものの実質
【コラム】
考える人―憧れの宇宙飛行士

とんぼの本 編集室だより

山本周五郎『日日平安』
原 幹恵/映画になった新潮文庫

三橋曉の海外エンタ三つ巴

小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞 決定発表
【連載】
[新連載]大竹 聡/酔いどれ紀行 第1回
荒山 徹/歴史の極意・小説の奥儀 第7回
橘 玲/残酷すぎる真実 第8回
津村記久子/やりなおし世界文学 第17回
森まゆみ/子規の音 第21回
A・A・ミルン作、阿川佐和子訳/ウィニー・ザ・プーと魔法の冒険 第7回
石原千秋/漱石と日本の近代 第28回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第67回
末盛千枝子/父と母の娘 第19回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第26回
木皿 泉/カゲロボ日記 第18回
津村節子/時のなごり 第49回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

今月の表紙は高村薫さん

◇今月の表紙の筆蹟は、高村薫さんです。
写真は新刊『空海』の取材中に高野山奥之院で合掌する姿ですが、今年開創千二百年を迎えた高野山の雰囲気を高村さんは「幽玄というよりは涼やかに明るい」と記しています。空海が「四面高嶺にして人蹤蹊絶えたり」と描写し、「平原の幽地」と詠んだ往時の趣は消失した高野山で、高村さんは「だからこそ、私たちはありとあらゆる史料を駆使して千二百年の時空を乗り越え、ときに想像を逞しくしなければならない」との思いを強くします。日本人ならその名を知らぬ者はいない偉大な宗教者でありながら、「人物像はあまりにぼんやりし過ぎている」弘法大師・空海。新作は「超人」の生身の人物像を追い求めて数多の文献を読みこなし、日本各地を訪ね歩いた高村さんが描き出した、日本人の信心と祈りの真相にも迫る入魂のドキュメントです。
◇「すべての本は私の子供です」と、『世界一美しい本を作る男~シュタイデルとの旅 DVDブック』の主人公・ゲルハルト・シュタイデル氏は語ります。氏が経営するシュタイデル社はドイツでは中堅に属する出版社ですが、年に百五十冊刊行するビジュアルブック(写真集)を始めとした同社の出版物は、『ブリキの太鼓』の著者ギュンター・グラスをして「シュタイデルに恋をした」と言わしめるほど美麗で高品質な本に仕上げられています。シュタイデル氏の言う「身体が喜ぶ本」はいかなる過程を経て作られているのか。マーケティングもコスト計算もしないという感性の職人が語る言葉は、転換期に差しかかった現在の出版界に携わる人間には深く響くものがあります。この本の刊行を記念して、ブックデザインを担当した白井敬尚さんと、印刷博物館の企画等に係る寺本美奈子さんのトークショーが10月6日(火)19時から、東京・神楽坂の「la kagu」2階にて行われます。世界中の美しい本の現物もお見せする予定です(入場料二千円)。お問い合わせは以下のアドレスまで。
http://peatix.com/event/114066
◇新潮社ホームページ情報
http://www.shinchosha.co.jp/
◎こざわたまこ『負け逃げ』R-18文学賞受賞者の書き下ろし短篇をweb特別公開
http://www.shinchosha.co.jp/wadainohon/339551/

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。