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編集室だより



波 2010年7月号(2010/06/27発売)

◇今月の表紙の筆蹟は、四月九日に逝去された井上ひさし氏。本誌では、『私家版 日本語文法』『自家製 文章読本』(新潮文庫)の連載をなさっている井上氏ですが、表紙に写っている原稿は、六月三十日に刊行される氏最後の長編小説『一週間』の自筆原稿です。『一週間』は、小説新潮誌上で二〇〇〇年二月号より足かけ七年間、四十三回にわたって掲載された、ソ連の日本人捕虜収容所向けに発行されていた「日本新聞」の編集所を舞台に、昭和二十一年春の一週間に凝縮された主人公の波瀾万丈の生を描いた大作です。
◇七月十四日(水)まで、荒川区立荒川ふるさと文化館(荒川区南千住)で、吉村昭記念企画展「作家・吉村昭の交遊録」が開催されています。この展覧会は、日暮里出身の吉村昭氏と、その文学仲間や恩師、編集者との交流、夫人の作家・津村節子氏から受けた影響などを、氏の作品や関連資料から紹介するもので、自筆原稿、氏の作品が掲載されている同人誌、編集者との写真など、氏の作品を理解するためにも貴重な資料が展示されています。
 また、吉村氏の『桜田門外ノ変』(新潮文庫)が映画化され、十月十六日(土)よりの全国ロードショー(配給/東映)が決定しました。出演は、大沢たかお、長谷川京子、柄本明、生瀬勝久、加藤清史郎、西村雅彦、伊武雅刀、そして北大路欣也といった豪華な面々。監督は、『男たちの大和』の佐藤純彌氏です。
 神奈川近代文学館(横浜市中区山手町)では、生誕八十年を記念した「『開高健の世界』展」が、八月一日(日)まで開催されています。この展覧会は、近年発見された原稿、書簡、遺愛品を中心に、執筆の軌跡を編年体による展観であらためて見つめ直すものです。なお、この展覧会にも出品されている『夏の闇』の自筆原稿四百八枚を完全収録した、『夏の闇 直筆原稿縮刷版』が、この五月に小社より刊行されております。
◎第五十八回日本エッセイスト・クラブ賞を、秋尾沙戸子『ワシントンハイツ―GHQが東京に刻んだ戦後―』(新潮社刊)が受賞しました。



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