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純愛小説? あのたけしさんが?

 安心してください、フェイクニュースではありません。つねに新しいサプライズで世の中を賑わせてきたビートたけしさんが、70歳にして初の恋愛小説『アナログ』を発表しました。刊行から1ヶ月で早くも10万部突破の快挙です。
 今作で描かれるのは、現代を舞台にしたスマホなしの恋愛。メールやLINEで「付き合おう」も「別れよう」も伝えられてしまうご時世に、互いの連絡先も知らないまま逢瀬を重ねる男女の物語です。「スマホはIT業界が世界中のヤツらにかけた手錠」という著者の強い意図を感じます。本号角田光代さんは、主人公たちの関係性をこう表します。「2人のあいだにあるのは感情よりむしろ運命だ。」(本文はこちら)満を持して書き下ろされた愛の物語は、合理性や利便性が先をいく世界で、ただ不器用に運命を受け入れる人間の姿でした。
「自分に負荷をかけないと、新しいことをやれなくなるのが怖い」と発売時の取材で語った通り、たけしさんの飽くなき探求は止まりません。この秋はあらゆるジャンルでたけしさんが描く、人間の深淵に触れてみませんか。映画「アウトレイジ最終章」では壮絶な暴力に、新書『バカ論』ではお笑いの骨頂に、そして『アナログ』では究極の愛に。

波 2017年11月号「新潮社の新刊案内」より

著者紹介

ビートたけしビート・タケシ

1947(昭和22)年、東京都足立区生まれ。漫才コンビ「ツービート」で一世を風靡。その後、テレビやラジオのほか、映画や出版の世界でも活躍。1997年「HANA-BI」がベネチア国際映画祭グランプリを受賞。著書に『間抜けの構造』『テレビじゃ言えない』『アナログ』など。

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