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受賞作品
「ゴールデンラッキービートルの伝説」 水沢秋生
(「虹の切れはし」を改題)


受賞のことば

禍福は糾える縄のごとし 「今回の受賞ですが……(ここでものすごく長いタメ)、残念ながら、見送らせて頂きます」
「ああ……(なにかいいことを言おうとしているのだけれども、何も思いつかないタメ)、残念です……」
それが受賞の連絡をいただいた、その日の朝に見た、夢でした。
夢オチか! と怒られるかもしれませんが、フィクションの中の夢オチとはちがって、現実での夢オチは、それ相応の重みのある、いやな感じが残るものです。
選考結果を待つ一日は、そんなふうに始まりました。
その後も、「小説というものに、真剣に向き合ってみよう」と思い立ったその日に購入し、これまでの苦楽をすべて知るノートパソコンが、ぷあん、という情けない音とともに寿命を迎えたり、前日に「きっと明日は浮足立っているからぶつかるに違いない」とわざわざ移動させておいた机の角で向う脛を強打してみたり、計ったようなタイミングで黒猫が二匹、目の前を横切ったりして、いい加減心身ともくたびれ果てた頃に、本当の受賞の連絡をいただきました。
「……本当ですか?」と、実のないことを二、三回尋ねたと思います。
電話を切って、しばらくぼんやりとした後にやって来たのは、喜びというよりも、安堵でした。
派手な爆発も殺人も恋愛もない、とても地味なこの作品も「エンターテインメントである」と認められたこと。この物語と、そこに登場する子供たちを世の中に送り出すことができること。彼らと、彼らの物語を必要としている読者のみなさんが出会う可能性が生まれたこと。
中でも一番大きなものは、自分の書いたこの物語にも、なにがしかの力があると認められたことへの安堵でした。
「あの地震が起きてから、小説なんて読めなくなっちゃったよ」
これは以前、ある雑誌関係者に言われた言葉です。



選評

恩田陸

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