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受賞作品
「かけら」 青山七恵
「新潮」 2008年11月号


受賞のコメント

「かけら」を書くにあたって、初めて取材旅行をした。バッジをつけてバスに乗り込み、添乗員に誘導されるがまま、さくらんぼ狩りをし、きのこの栽培室を見学し、高原を散策した。そして翌日から書き始めた。
小説を書くときには、何回も主人公の目を借りる。主人公に見えているもの、見えていないものは何か、考える。旅行から帰って校了までのあいだ、頭の中で私は何十回とはとバスに乗り、さくらんぼを食べ、高原のベンチに座った。小説が完成するにつれて、自分が過ごした一日の記憶が、主人公が過ごした一日の記憶により鮮やかに塗り変えられていくのを感じた。
小説を書くという体験の新しい一面を知った、思い出深い作品だった。受賞することができて、今、本当にうれしい。


〔青山七恵氏略歴〕
昭和五十八年埼玉県生まれ。筑波大学図書館情報専門学群卒業。平成十七年「窓の灯」で文藝賞受賞。平成十九年「ひとり日和」で芥川賞受賞。

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