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編集者のことば 一冊一冊の本に、生まれたきっかけや制作にまつわるエピソードがあり、編集に携わった担当者の思いがこもっています。そんな「裏方からのひとこと」、よろしければご一読を―。

黒人はなぜ足が速いのか―「走る遺伝子」の謎―

日本人が逆立ちしてもかなわない……

 2008年北京オリンピックの際、100メートル決勝でジャマイカのウサイン・ボルト選手が9秒69という当時の世界記録で金メダルを獲得しました。しかも、後半の30メートルくらいは、両手をふざけたような仕草で広げた「欽ちゃん走り」。本気で走ったら一体何秒なのか、と誰もが考えたはずですが、翌年のベルリンの世界陸上では「本気」で臨み、あっさりと自己の世界記録を破る9秒58のタイムをたたき出しています。
 ボルト選手の走りは「別次元」な感じがしますが、実は男子陸上100メートルの記録を見ると、ベストテンは全員黒人選手。しかも、西アフリカに祖先をもつと考えられる選手ばかりなのです。こうした偏りは短距離だけではなく、長距離にも見られます。男子マラソンでは歴代十傑はみなケニアかエチオピア国籍で、かろうじて10位にモロッコの選手が入っているだけです。
 こうした事実に「科学的根拠」はあるのか。それを生物学者が遺伝子の知見に基づいて迫ったのが本書です。ヒトにある2万8000の遺伝子の中から、「走る遺伝子」の候補として考えられるものを丹念に探っていきます。ちなみに本書で挙げられている「最有力容疑者」は、αアクチニン遺伝子とACE遺伝子。探偵気分でご一読ください。

2010/06
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