まだまだお暑うございますね。
ついついご奉公をさぼりたくなってしまうおこぐでございます。
でもなんとかさぼらず、毎日奉公しておりますが。
前回は喧嘩別れになりましたが、チーム長崎屋の文庫担当・博吉にインタビューを続けます。
――ひとまず喧嘩はやめて、インタビューを続けましょう。では、柴田さんの装画を見たときの感想などを教えてください。
博吉:若だんなとか、目が点! なのにとても表情が豊かで、面白いなあと思いました。あと、最近はウチの生まれて5カ月になる娘がどうも鳴家に見えてしまい、きゅわわ~とか話しかけて怪訝な顔を返されます。そういう時って、かなり恥ずかしいです。
――そういえば、博吉は長崎屋でご奉公している奉公人のなかで、ただ一人既婚者だものね。しかもお父さんだし。
博吉:そうだね、チーム長崎屋は、過去の奉公人もみんな独身だね。
――博吉みたいな男がよく結婚できたわよねぇ。でも、博吉って見た目はカッコイイよね。新潮社の近くにある女子高生がファンクラブ作ってたって聞いたことあります。
博吉:けなされたんだか、褒められたんだかよく分からないので反応に困りますが、ファンクラブがあったのは本当です(エッヘン!)。
――そうねぇ、よく見れば、涼やかな目の辺りは仁吉さんに似てなくもないような……。結婚生活はどうですか。ご奉公との両立はかなり難しい?
博吉:独身のころは、いざという時の“お姫様だっこ”のために腕力の鍛錬を欠かしませんでしたが、どんどん肥える妻を見ていると、ドーピングでもして筋力強化を図らなければとても追いつかないと近頃、悟ったよ。でも、娘に満足な“高い高ーい”をしてあげられない父親というのもどうかと思うので、もうちょっと頑張ろうかな、と。奉公も結婚も、要は体力って事だと思っている今日この頃です。
――なるほどねぇ。実体験だけに説得力がありますねぇ。
博吉:最近、体力・記憶力ともに衰えを感じて、ちょっと焦ってもいるんだけどさ。
――前回のインタビューで、シリーズで最初に読んだのは、『ぬしさまへ』だって言っていたけど、それくらいは憶えてるよね(笑)。一番好きなお話はどれですか。
博吉:前にも挙げた“空のビードロ”は捨てがたいし、“仁吉の思い人”も仁吉のダンディズムと純情がいいですね。男はこうでなくちゃいけません。でも一つだけ挙げるとすれば“栄吉の菓子”です。ミステリー的な要素が強い作品ですけど、切れ味鮮やかな展開が素晴らしい! それに、死んだ隠居老人の最後の大バクチから滲み出る人生の哀感に、おじさんは、はぁと切ないため息を漏らさずにはいられませんよ。
――自分のことおじさんって言わないで。おこぐと博吉は同い年なんだから、おこぐもおばさんってことになっちゃう! じゃ、一番好きなキャラクターは?
博吉:う~ん、仁吉。やっぱり格好いいし(俺に似てるし)。あと栄吉さんは、どうしてあんなに不味いお菓子ばかり作れるんだ!
――仁吉のかっこよさも、栄吉の不器用さも、シリーズ人気の一端であることは間違いないとおこぐも思います。博吉は、『しゃばけ』シリーズの一番の魅力はどんなところだと思いますか?
博吉:私にとっては、『しゃばけ』シリーズって、読み返すたびに“ああ、こんなことが描かれていたのか”という新発見があるんです。暮らしていく中での楽しみとか嫌なこととか、普段あまり気にしないで見過ごしているような世の中の事々が、ほんのちょっとした数行にさりげなく描き込まれていて、それに気付いて、ああ……、と思う。もちろん単純に読み落としていたというものもあるんですけど、それ以上に、前回読んでからいままでの間に自分が体験したことがあって初めて感じ取れた“ああ……”がたくさんあるのが面白い。たとえば、『ぬしさまへ』を読んで、若だんなに“そうそう。そうなんですよね。これが辛いところで、わかって下さいますか……”みたいな愚痴を漏らしてみたいと3年前に思ったけど、今は別の問題についてそう思うし、きっと3年後にも何か違うことを話しかけてみたくなるのだと思います。そういう意味で『しゃばけ』シリーズは、読み手の年齢・性別に関係なく楽しめるような気がします。畠中さんって、オトナなんだなー、と思います。
――博吉って、なんだか頭がいい人みたいなこと言うのね。意外だわ~。
博吉:だから、意外って言うな!
――こうやってすぐ怒るところは子どもなんだけどね。11月には第3弾文庫版『ねこのばば』が発売になりますが、好きな作品を文庫化するに当たっての抱負をお聞かせさい。
博吉:個人的には“産土(うぶすな)”が好きです。“何事もない毎日って有り難いことなんだなー”としみじみできる作品ですので、未読の方は要チェックです。『しゃばけ』シリーズ作品の中で、しっとり系の白眉! 抱負と言うほどでもないですが、まだ文庫のことがよくわかっているとは言い難いので、あんまり勝手をせずに着実に作りたいと思っています。『しゃばけ』シリーズの楽しみを、どうやったらもっとたくさんの方に気が付いていただけるかを考えるのが文庫編集者の使命ですので。おこぐに何を言われても、修行、修行……。
――何を言われてもって、おこぐはそんなに怖くありませんよっ、失礼な! おこぐって本当はとても優しい女中ですものねぇ、博吉さん?
博吉:そんな怖い質問には答えられません。どういう罠なんですか、これは?
――何言ってるんですか。博吉にしろ、あゆぞうにしろ、最近増長しているんじゃないだろうか……。
博吉:え? あゆぞうと同じ年頃だった当時のおこぐさんも、なかなかの増長ぶりだったという説がありますけどねぇ。
――あゆぞうよりはマシでしたよっ。ちょっと女子高生に人気があるからっていい気になってる博吉にそんなこと言われたくなーいっ。
博吉;いい気になんかなってないよ。私が仁吉似なのは私のせいじゃないんだしね。
――キィーッ、やっぱりいい気になってるじゃないのっ。
と、結局最後には喧嘩になってしまいましたので、博吉インタビューはこの辺でおしまいにします。次回はもっと性格のいい奉公人にインタビューしたいものです。。。


