夜露死苦現代詩2.0

ストリート生まれ、音楽を

第1回 ラッパーは光、言葉は影 ILL-BOSSTINO/THA BLUE HERB

THA BLUE HERB
『未来は俺らの手の中』
『路上』

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立ち読み(本誌記事より)

(文・都築響一)

2010年10月のある深夜、僕は渋谷のASIAというクラブにいた。正確には詰め込まれていた。時間はすでに午前3時を回っているが、あまりの人数で2時間前からまったく身動きが取れない。立ちすくんだまま、足を組み替えることも、鼻を掻くために腕を上げることすらできない。ピーク時の山手線をはるかに上回り、外を歩くヤツらはすでに羽毛のジャケットを羽織っているのに、ここではTシャツが汗でからだに貼りつき、その汗は目にも入ってきて、さっきからだれも倒れないのが不思議なほど酸素は薄く……

THA BLUE HERB

ラッパーILL-BOSSTINO、トラックメイカーO.N.O、ライヴDJ DJ DYEの3人からなる一個小隊。1997年札幌で結成。以後も札幌を拠点に自ら運営するレーベルからリリースを重ねてきた。'98年に1st ALBUM「STILLING,STILL DREAMING」、2002年に2nd ALBUM「SELL OUR SOUL」を発表。'04年には映画「HEAT」のサウンドトラックを手がけ、'05年には8年間の道のりを凝縮した映像作品「THAT'S THE WAY HOPE GOES」を発表した。

NEWS

本格的なアルバム制作突入を前に、PHASE 3(2007年〜2010年)におけるライヴの最終完成型を求め、各地のステージ最前線を駆け抜け、2010年10月、遂に全てのライヴスケジュールを終え、その最後の日々を収めた作品「PHASE 3.9」を発表。
公式ホームページ http://www.tbhr.co.jp/

都築響一(つづき・きょういち)
1956年、東京生まれ。現代美術・建築・写真・デザインなどの分野で編集・執筆活動を続ける。93年、東京のリアルな居住空間を捉えた『TOKYO STYLE』を発表。96年には『ROADSIDE JAPAN』で第23回木村伊兵衛賞を受賞。『賃貸宇宙』『着倒れ方丈記』『バブルの肖像』『現代美術場外乱闘』『天国は水割りの味がする』など著作多数。今回の連載は、街角に隠れた言葉で日本の現在を映し出した『夜露死苦現代詩』(05年から06年にかけて『新潮』に連載)に続く形となる。
都築響一

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