夜露死苦現代詩2.0

ストリート生まれ、音楽を

第10回 本当に痛い場所を言わないくせに わかって貰えないって、一人で泣く――チプルソ

チプルソ
『一人宇宙』
『絶景』
『I LOVE ME』

右のアイコンをクリックしてダウンロードサイトよりMacromedia Flash Playerプラグインをダウンロードし、インストールしてください。

flash

立ち読み(本誌記事より)

(文・都築響一)

 泥酔したキャバ嬢と、泥酔したホスト風の男たちが奇声を上げる。その脇をいらだたしげに流す空車タクシー。深夜3時の心斎橋あたりにはそうとう荒廃した気分と、空気が淀んでいる。
 ビルの地下にある小さなクラブでは、そんな時間にひとりの男がステージに立っていた。うしろのDJボックスには、だれもいない。男の前にはマイクとサンプラーが1台置かれたテーブルがあるだけ(それはちょっと前に、男が自分でステージの奥から運び出してきたものだ)。

チプルソ

 大阪服部緑地公園rep.のラッパー/トラックメーカー。「UMB(ULTIMATE MC BATTLE) 2011」に大阪を代表して出演。口で太鼓(beat box)を鳴らしながら、指で弦(classic guitar) を弾いたり箱(mpc)を叩くなど、口八丁手八丁(NoDJ1MC)で進められる、その原始的な「演説」が独特のスタイル。2011年12月30日、UMB決勝大会の日にファーストアルバム『一人宇宙』を発表。
公式サイト http://tipleso.blog3.fc2.com/blog-category-2.html


NEWS
都築響一(つづき・きょういち)
1956年、東京生まれ。現代美術・建築・写真・デザインなどの分野で編集・執筆活動を続ける。93年、東京のリアルな居住空間を捉えた『TOKYO STYLE』を発表。96年には『ROADSIDE JAPAN』で第23回木村伊兵衛賞を受賞。『賃貸宇宙』『着倒れ方丈記』『バブルの肖像』『現代美術場外乱闘』『天国は水割りの味がする』など著作多数。今回の連載は、街角に隠れた言葉で日本の現在を映し出した『夜露死苦現代詩』(05年から06年にかけて『新潮』に連載)に続く形となる。
都築響一

ページの先頭へ戻る