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宮崎誉子「欠落」(120枚)

新潮 2007年9月号

(毎月7日発行)

943円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2007/08/07

発売日 2007/08/07
JANコード 4910049010976
定価 943円(税込)

◆欠落(120枚)/宮崎誉子
 面接され派遣され賃金と引き換えに「コミュニケーション」する
 僕の時給と胃痛。新世代のプロレタリアート文学。

◆火/中村文則

◆でも決して光りを捕まえることなど出来ないのに似て/辻 仁成

◆鳥占い/長野まゆみ

◆毛流族の乱/桐野夏生

◆作家生活50周年記念小説(短期集中掲載4)
 第四章 「アナベル・リイ映画」無削除版
 臈(らふ)たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ/大江健三郎

◆ダンシング・ヴァニティ(第4部 完結篇)/筒井康隆

■連載小説
・カデナ(五)/池澤夏樹
・決壊(十一)/平野啓一郎
・太陽を曳く馬(十二)/高村 薫
・神器―浪漫的な航海の記録―(二十一)/奥泉 光
・城砦(二十六)/加賀乙彦

◆第40回《新潮新人賞》応募規定

■ 対談 ■
・知的共同体の終わりと始まり
  『先生とわたし』を契機に知の困難と未来を問う。/四方田犬彦+坪内祐三

インタビュー●『流転の海』の二五年
  起筆から四半世紀、壮大な航海の軌跡と展望。/宮本 輝

■追悼 河合隼雄
・取り返しはつかない/養老孟司

■わが戦前―平成年間の感情、思想、文芸― 第十三回/福田和也

■主体の軸となる現実は……―小説をめぐって(三十三)/保坂和志

■見えない音、聴こえない絵(43) 高野山のミシン針/大竹伸朗

■新潮
・アクチュアリテについて/菅野昭正
・文字の愉しみ/平野甲賀
・燃える顔、そして失われたお尻/川上未映子
・脳髄幽霊、ほんまにつかれる/海猫沢めろん

■本
・小池昌代『タタド』/川本三郎
・江國香織『がらくた』/斎藤 環
・角田光代『ロック母』/斎藤美奈子
・リチャード・パワーズ『囚人のジレンマ』/福永 信
・中村文則『最後の命』/松井博之

■連載評論
・マキノ雅弘(三)/山根貞男
・〈記憶〉の中の源氏物語(三十七)/三田村雅子

編集長から

長期戦

◎しみじみ思う、文学は長期戦だ◎宮本輝氏が小誌連載の長篇『花の回廊』を刊行したのを機にインタビューした。本作は氏自身の父をモデルにした大河小説『流転の海』の第五巻にあたる。今年で作家生活30年の作家が25年書き続けてきたライフワークだ。「おそらくこれからあと三巻は必要だと思っています」と今年還暦を迎えた宮本氏は言う◎四方田犬彦氏と坪内祐三氏の対話は、四方田氏の近著『先生とわたし』への討議を経て、より普遍的な問題――現代における教養の崩壊――に展開した。世紀をかけて崩壊したものは、その再建にも世紀を費やすだろう。だがそれを承知で四方田氏は語るのだ。「どうすれば自分なりにそういう文化・教養の再建にかかわれるか」と◎気鋭・宮崎誉子氏の中篇『欠落』は今現在の日本で絶望的に戦う若者の生を今現在の言葉で鮮やかに描く。氏のような若い書き手の格闘が長期戦に発展しないと誰に言えるだろうか。

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞