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見返りキメラ(110枚)/青山真治

新潮 2008年3月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/02/07

発売日 2008/02/07
JANコード 4910049010389
定価 特別定価996円(税込)

◆見返りキメラ(110枚)/青山真治
28歳は大人であり、いまだ母の娘でもあり、ミチルとカナエの生は揺らぐばかり。  過去を突き抜けるための女ふたりの帰郷の物語。

◆鮒のためいき(100枚)/戌井昭人
白昼のフナ惨殺事件! 幾度も響き渡る森進一の名曲? 主婦の脳内に広がる奇妙な世界。

◆金襴の空/村田喜代子

■連載小説
・ばかもの(三)/絲山秋子
・幸福の森(三)/加賀乙彦
・カデナ(十)/池澤夏樹
・太陽を曳く馬(十七)/高村 薫
・決壊(十七)/平野啓一郎
・神器―浪漫的な航海の記録―(二十七)/奥泉 光

■ 討論 ■小説と評論の環境問題(第二部)/高橋源一郎+田中和生+東 浩紀
文学の定義からポストモダニズムの功罪まで、白熱の議論・完結篇。

◆第40回《新潮新人賞》応募規定

■ 対話 ■力の文明に抗う言葉/池澤夏樹+中沢新一
文明の危機が最後のフェーズを迎えつつある今、希望の原理はどこにあるのか?

■【新連載 コラム】生き延びるためのアメリカ文学
命を受け継ぐこと――ドン・デリーロ『落ちる男』(Falling Man)/都甲幸治

■素肌と背中――古井由吉『白暗淵』論/蓮實重彦

■魔法・誤配・存在――筒井康隆『ダンシング・ヴァニティ』論/桜坂 洋

■追悼 デニス・キーンのこと/ドナルド・キーン  角地幸男訳

■わが戦前―平成年間の感情、思想、文芸― 第十六回/福田和也

■四方田犬彦の月に吠える(三)[文化月評]/四方田犬彦

■連載評論
・高畠素之の亡霊(三)/佐藤 優
・いはねばこそあれ――男色の景色(三)/丹尾安典
・現(うつつ)な像(三)/杉本博司
・マキノ雅弘(七)/山根貞男
・明治の表象空間(二十二)/松浦寿輝

■新潮
・戦場の生死/高井有一
・アームチェア“ムシ”愛好家/岡田節人
・明治天皇を食べようか/楊 逸

■本
・四方田犬彦『翻訳と雑神』『日本のマラーノ文学』/安藤礼二
・蜂飼 耳『紅水晶』/稲葉真弓
・山崎ナオコーラ『カツラ美容室別室』/田中和生
・橋本 治『小林秀雄の恵み』/仲俣暁生

編集長から

キメラのように
◎キメラ(キマイラ)とは獅子の頭、龍の尾、山羊の胴体を持つギリシア神話の怪物だ。転じて、個体内での遺伝子混在も意味する。青山真治氏の「見返りキメラ」(110枚)は、ともに母子家庭に育った幼馴染の女性ふたりの帰郷を描く。社会的に自立しながら、今ここの生に揺らぐ彼女らは故郷=母に回帰しつつも、予定外の寄り道をするだろう。そのとき、キメラが不意に姿を現わす◎池澤夏樹氏と中沢新一氏の対談は新石器文化から9・11以降の世界にまで壮大な広がりを見せ、前号で反響を呼んだ高橋源一郎、田中和生、東浩紀三氏の鼎談「小説と評論の環境問題(第二部)」はさらに白熱◎シュールかつブラックな作風で熱狂的なファンを持つ劇団・鉄割アルバトロスケット主宰者、戌井昭人氏の初小説「鮒のためいき」(100枚)を掲載◎一冊の雑誌の中で、多種多様な世界観から創作と対話が誕生する。文芸誌もキメラのようでありたい。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞