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terra/川上弘美

新潮 2008年8月号

(毎月7日発行)

943円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/07/07

発売日 2008/07/07
JANコード 4910049010884
定価 943円(税込)

◆terra/川上弘美

◆朝の虹/古井由吉
闇が白い。白いままに闇だった。混沌とは無音無響のことだったか――。文学の豊穣がここに。

◆実験動物(100枚)/間宮 緑
「人間」のグロテスクな肖像を描く奇妙な寓話。23歳気鋭、登場。

◆三つのボール/中村文則

◆夜の鳥/緒形圭子

◆ネバーランド(10)/藤野千夜

◆ファントム、クォンタム(第二回)(100枚)/東 浩紀
並行世界を彷徨う亡霊としての魂。衝撃の展開。

■連載小説
・ばかもの(八)[完結]/絲山秋子
・幸福の森(八)/加賀乙彦
・カデナ(十五)/池澤夏樹
・太陽を曳く馬(二十二)/高村 薫

■新潮
・『三四郎』はなぜ車中場面からはじまるか/加藤典洋
・アンデルセンと周縁の文学/池内 恵
・暴力の神話/山極寿一

◆第41回《新潮新人賞》応募規定

■対話 からだ・ことば・はざま/多和田葉子+川上未映子
言葉のポリリズムをいかに生み出すか。

■対話 二十一世紀の「人間」を書く/高橋源一郎+平野啓一郎
長篇『決壊』が提出した問題を巡って。

■想像される〈父〉とその想像的殺害[力作評論]/小林敏明
 ――大江健三郎『みずから我が涙をぬぐいたまう日』を再読する

■関係の化学としての文学(十六)[完結]/斎藤 環

■世の見方の始まり(三)――谷崎潤一郎・乳首/池内 紀

■生き延びるためのアメリカ文学(六)/都甲幸治
 オースターの新作が読みたい!――P・オースター『写字室の中の旅』

■四方田犬彦の月に吠える(八)[文化月評]/四方田犬彦

■見えない音、聴こえない絵(54)/大竹伸朗

■連載評論
・高畠素之の亡霊(八)/佐藤 優
・現(うつつ)な像(八)/杉本博司
・明治の表象空間(二十七)/松浦寿輝

■本
・池澤夏樹『星に降る雪/修道院』/石川直樹
・岸本佐知子編訳『恋愛小説集』/鹿島田真希
・本谷有希子『グ、ア、ム』/最相葉月
・よしもとばなな『サウスポイント』/管 啓次郎
・青山七恵『やさしいため息』/田中弥生
・小川国夫『止島』/日和聡子
・レオニード・ツィプキン『バーデン・バーデンの夏』/松永美穂

編集長から

おいしい小説
◎「あの人の小説はね、結局のところ、おいしくないと思う」。あるベテラン作家の呟きに不意をつかれた。おもしろいではなくおいしいかどうか。血のなかに小説が流れているような文学者の言葉には強い説得力があった。以来、原稿を読むたびに思う。書き手は全力投球したはずだし、試みも企みも感じられる。でも結局のところ――この作品はおいしいのか?◎もちろん、問われているのは作品の〈味〉だけでなく、読む側の〈舌〉でもある。「早読みしないこと、はしょらないこと、ゆっくり食べること、丹念に摘みとること、現代作家のものを読むには、昔のような読書のひまを再び見出すこと、すなわち、貴族的な読者になることだ」(ロラン・バルト『テクストの快楽』)。そんな読者を書き手は畏れ、そして求めている◎今月もまた、編集者は祈るような思いで、読者に誌面を届ける。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞