ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:新潮 > 雑誌詳細:新潮 2009年8月号

【特別企画】辻 邦生・北 杜夫 パリ東京往復書簡〈全38通〉

新潮 2009年8月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/07/07

発売日 2009/07/07
JANコード 4910049010891
定価 特別定価996円(税込)

【特別企画】
辻 邦生・北 杜夫 パリ東京往復書簡〈全38通〉
「僕は宗吉のなかに僕の半身以上のものを見つける」(辻)。「とても辻と話がしたい。辻が話してくれると、モヤモヤが形をとるにちがいない」(北)。半世紀を経て、奇跡のように復活する友情と文学愛の記録。

◆やすらい花〈連作完結〉/古井由吉

◆湖面の女たち/鹿島田真希

◆山猫 〈川端康成文学賞受賞第一作〉/青山七恵

◆街を食べる/村田沙耶香

◆砂の粒/金井美恵子

◆ファントム、クォンタム(第八回)〈連載完結〉/東 浩紀

■連載小説
・慈雨の音(二)/宮本 輝
・俺俺(二)/星野智幸
・還れぬ家(五)/佐伯一麦
・幸福の森(二十)/加賀乙彦

■新潮
・喫茶店彷徨/別役 実
・投稿歌の世界/穂村 弘
・私の名医/西川美和

◆第42回《新潮新人賞》応募規定

【新連載】島尾敏雄 終戦後日記〈未発表〉
特攻隊指揮官として敗戦を迎えた文学者が記録した、国土と文学の復興する姿。『「死の棘」日記』に続く超一級資料!

◆現代人は救われ得るか(前篇)――村上春樹『1Q84』/福田和也

◆欲望することを欲望する子どもたち――山田詠美『学問』について/田中和生

■屋根裏プラハ〈新連載エッセイ〉/田中長徳

■獅子文六のパリ/鹿島 茂

■世の見方の始まり(七)――石川淳・遊民/池内 紀

■生き延びるためのアメリカ文学(十八)/都甲幸治
 壊れる二人――ケン・カルファス『この国特有の混乱』

■四方田犬彦の月に吠える(二十)[文化月評]/四方田犬彦

■見えない音、聴こえない絵(六十六)/大竹伸朗

■連載評論
・随想(八)/蓮實重彦
・残夢整理(八)/多田富雄
・母性のディストピア――ポスト戦後の想像力(十)/宇野常寛
・高畠素之の亡霊(十九)/佐藤 優
・明治の表象空間(三十六)/松浦寿輝

■本
・村田喜代子『ドンナ・マサヨの悪魔』/赤染晶子
・四方田犬彦『歳月の鉛』/戌井昭人
・島田雅彦『徒然王子 第一部・第二部』/大和田俊之
・桐野夏生『IN』/斎藤 環
・高橋英夫『母なるもの 近代文学と音楽の場所』/野崎 歓
・伊井直行『ポケットの中のレワニワ(上・下)』/藤谷 治

編集長から

言葉は残る。そして、蘇る。
◎言葉は残る。そして、蘇る。北杜夫氏と故・辻邦生氏の「パリ東京往復書簡」(180枚)を読みながら、そう実感した。書簡は辻氏がパリに留学し、北氏がマグロ調査船医としての長期航海から帰国した1960年前後のものだ。母国を遠く離れ、文学理論と創作の両面で自らを追い詰めていく辻氏。『どくとるマンボウ航海記』の大ヒットや芥川賞受賞に戸惑いつつ、辻氏を支援し、時に文学的苦悩を告白する北氏。約半世紀前に海を越えて交わされ、今初めてひとつになった両者の言葉は、稀有な文学的対話となった◎島尾敏雄氏が遺した膨大な日記群の一部は『「死の棘」日記』等として発表されたが、一昨年死去されたミホ夫人の遺品より、日記原本が見つかった。それらは一級の文学者の言葉で昭和という時代そのものを映し出す貴重な記録だ。今号より連載形式で昭和20~26年の「島尾敏雄終戦後日記」を発表する。そう、言葉は残る。そして、蘇るのだ。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞