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〈三島由紀夫賞受賞第一作〉前田司郎「逆に14歳」(190枚)

新潮 2009年10月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/09/07

発売日 2009/09/07
JANコード 4910049011096
定価 特別定価996円(税込)

◆逆に14歳(190枚)/前田司郎
その瞬間、時間は逆転した! 永遠に未成熟な老人達の死に向けた笑劇(ファルス)。三島賞受賞第一作。

◆地上で最も巨大な死骸(110枚)/飯塚朝美
美しい象と青年が出会う時、動物園は生きるものの劇場となる。新潮新人賞受賞第一作。

◆流跡(110枚)/朝吹真理子
水の流れにさまよう命と液晶の上にたゆたう言葉の決定的な出会い。鮮烈なデビュー作!

◆嘔吐/中村文則

◆裏切りの耳、紙の肉体/金井美恵子

◆◆アジアに浸る Soaked in Asia [第八回 韓国]◆◆
・親切な福姫(ポッキ)さん/パク・ワンソ
・唐辛子姉妹/高樹のぶ子
・「恨」という劇薬=韓国SIA/高樹のぶ子

■連載小説
・俺俺(三)/星野智幸
・還れぬ家(七)/佐伯一麦
・幸福の森(二十二)/加賀乙彦

■新潮
・コミさんのこと/奥本大三郎
・書道の時間/春日武彦
・「介護民俗学」から/六車由実

◆第8回《小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞》発表

◆第41回《新潮新人賞》予選通過作品発表

◆第42回《新潮新人賞》応募規定

■ 特別対談 ■
言葉と絵、響き合う自由/磯崎憲一郎+横尾忠則

◆楠木正成の物語的〈変成〉――シャーマンから悪党へ/高澤秀次

■島尾敏雄 終戦後日記(三) 昭和二十一年二月五日―二月二十八日

■生き延びるためのアメリカ文学(二十)/都甲幸治
 もう一つの日本――カレン・テイ・ヤマシタ『サークルKサイクルズ』

■四方田犬彦の月に吠える(二十二)[文化月評]/四方田犬彦

■見えない音、聴こえない絵(六十八)/大竹伸朗

■本
・宮崎かすみ『百年後に漱石を読む』/上野俊哉
・平野啓一郎『ドーン』/苅部 直
・諏訪哲史『ロンバルディア遠景』/鶴岡真弓
・橋本 治『巡礼』/仲俣暁生
・限界小説研究会編『社会は存在しない セカイ系文化論』/福嶋亮大

■連載評論・エッセイ
・屋根裏プラハ(三)/田中長徳
・随想(十)/蓮實重彦
・残夢整理(十)/多田富雄
・母性のディストピア――ポスト戦後の想像力(十二)/宇野常寛
・高畠素之の亡霊(二十一)/佐藤 優
・明治の表象空間(三十八)/松浦寿輝

編集長から

回想の奇跡
◎死者が蘇ることは奇跡だろうか。だとすれば、〈回想〉という精神の営為の中では、たえず奇跡が起きているのだ。そして回想の中で蘇った死者に捧げる言葉とは、文学そのものではないか。そのようなことを多田富雄氏の小誌連載随筆「残夢整理」を読むたびに思う。国際的免疫学者である多田氏が脳梗塞に倒れ、半身の自由と発話能力を喪失したのは八年前のこと。さらには癌に襲われながらも、今、75歳の多田氏が小誌で渾身の力を注ぐのが〈死者を思い出す〉という行為だ。たとえば今回、軍国青年でありながら文学に魂の救いを求め、終戦まもなく夭折した自身の従兄弟を見事に蘇らせた多田氏の言葉は、無名の若者への極私的な鎮魂でありながら、普遍性を深々と湛えている。ここに文学の賜物はある◎前田司郎氏(三島賞)、飯塚朝美氏(新潮新人賞)の待望の受賞第一作を掲載。そして「無名の若者」朝吹真理子氏の鮮烈なデビュー作を紹介する。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞