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【300枚一挙掲載】よしもとばなな「アナザー・ワールド 王国その4」

新潮 2010年2月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2010/01/07

発売日 2010/01/07
JANコード 4910049010204
定価 特別定価996円(税込)

◆アナザー・ワールド 王国その4(300枚一挙掲載)/よしもとばなな
太古から連綿とつらなる生命に宿されたものを携えて、その先の世界へ――。生者と死者と自然の織り成すこの地上をめぐる旅の果てに主人公が見たものとは。著者最大のライフワーク完結篇!

◆空に梯子[新連載]/角田光代
なぜ、彼は平凡な私を愛してくれるのか? その関係の先には薄暗い闇が広がっていた。

◆尿意/諏訪哲史

◆午後/福永 信

◆〈島〉に戦争が来た[短期集中連載・2]/加藤幸子

■連載小説
・マザーズ(二)/金原ひとみ
・フィルムノワール/黒色影片(二)/矢作俊彦
・俺俺(七)/星野智幸
・還れぬ家(十一)/佐伯一麦
・ネバーランド(十三)/藤野千夜
・幸福の森(二十六)/加賀乙彦

◆第42回《新潮新人賞》応募規定

■奄美のマンマーの家で/しまおまほ
鏡台の前で倒れている祖母島尾ミホは白雪姫のように、きれいだった。孫だけが描き得た最期の肖像。そして、遺されたもの――。

■ゼロ年代の終わりに――ベルリンのチェルフィッチュ/内野 儀

■世の見方の始まり(九)――宮沢賢治・お経/池内 紀

■島尾敏雄 終戦後日記(七)昭和二十二年一月一日―五月三十一日

■生き延びるためのアメリカ文学(二十四)/都甲幸治
 愛することの悲しみ――メアリー・ゲイツキル『泣かないで』

■見えない音、聴こえない絵(七十二)/大竹伸朗

■新潮
・真に死に切る/佐々木 中
・「自分の悲劇を舞台にのせて笑う」ことについて。/岩井秀人
・アヴァンギャルドな体験/塚原 史

■本
・青山七恵『魔法使いクラブ』/稲葉真弓
・S・エリクソン『エクスタシーの湖』/円城 塔
・I・マキューアン『初夜』/鹿島田真希
・辻原 登『抱擁』/野崎 歓

■連載評論・エッセイ
・高畠素之の亡霊(二十四)[連載完結]/佐藤 優
・屋根裏プラハ(六)/田中長徳
・随想(十三)/蓮實重彦
・残夢整理(十三)/多田富雄
・明治の表象空間(四十一)/松浦寿輝

編集長から

「別の世界」への旅
◎以前、真夜中の編集部に突然英語の電話がかかってきた。相手はギリシャの女子高生で、通話代が心配になるくらい、よしもとばなな氏の作品への共感を懸命に語り続けた。氏が数十カ国に読者を持つ世界作家であることをあらためて実感した瞬間だった◎「アナザー・ワールド 王国その4」(300枚)はよしもと氏にとって最大の長編シリーズ「王国」の完結篇。ギリシャのミコノス島から九州天草まで、生者と死者と自然の織り成す地上を旅する若き女性主人公は、愛し、傷つき、学び、「別の世界」への扉をあける。フィクションだけに可能な形で、自己と世界のつながりを深々と肯定した新たな代表作の誕生だ◎角田光代氏の小誌初連載小説「空に梯子」は、恋愛関係が根源的に孕む非対称性が臨界点を超えるまでの思考実験なのかもしれない。早くも連載初回より、角田氏一流のストーリーテリングが関係性の化学反応を一気に加速させる。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞