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橋本 治「リア家の人々」(480枚一挙掲載)

新潮 2010年4月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2010/03/06

発売日 2010/03/06
JANコード 4910049010402
定価 特別定価996円(税込)

◆リア家の人々(480枚一挙掲載)/橋本 治
昭和という時代を、日本人は、日本の家族は、このように生きたのだ! 崇高であり矮小でもある人間精神と、その土台である敗戦国の激動を、叡智の人・橋本治が描き尽くす大型長篇。

◆ふける/藤谷 治

◆刺青/エヴゲーニイ・グリシコヴェツ  訳・解説 沼野恭子

◆◆アジアに浸る Soaked in Asia [第九回 インド]◆◆
・仔犬/ラージェンドラ・ヤーダヴ
・ニーム/高樹のぶ子
・どこから見るか=インドSIA/高樹のぶ子

■連載小説
・空に梯子(三)/角田光代
・マザーズ(四)/金原ひとみ
・フィルムノワール/黒色影片(四)/矢作俊彦
・慈雨の音(八)/宮本 輝
・還れぬ家(十三)/佐伯一麦
・ネバーランド(十四)/藤野千夜
・幸福の森(二十八)/加賀乙彦

◆第42回《新潮新人賞》応募規定

◆批評と殺生――北大路魯山人(130枚)/大澤信亮
生きるために食べ、食べるために他を殺す。そんな人間の為す批評とは何か? 美と食の怪物、魯山人との対峙から新世紀の思考へ!

◆サリンジャーが死んだ/佐藤友哉

■島尾敏雄 終戦後日記(九)昭和二十三年一月十三日―十二月三十一日

■生き延びるためのアメリカ文学(二十六)/都甲幸治
 サラエボの幼年時代――アレクサンダル・ヘモン『愛と困難』

■見えない音、聴こえない絵(七十四)/大竹伸朗

■新潮
・詩が歩いてゆく/管 啓次郎
・初恋を手術した日/村田沙耶香
・どんぶりなかのジュラ紀/藤野可織

■本
・前田 塁『紙の本が亡びるとき?』/円城 塔
・桐野夏生『ナニカアル』/野崎 歓
・橋本 治『橋』/蜂飼 耳
・平出 隆『鳥を探しに』/日和聡子
・山崎ナオコーラ『この世は二人組ではできあがらない』/古谷利裕

■連載評論・エッセイ
・随想(十五)[連載完結]/蓮實重彦
・屋根裏プラハ(八)/田中長徳
・明治の表象空間(四十三)/松浦寿輝

編集長から

橋本治「リア家の人々」
◎ここに、平成の世には絶滅した日本人がいる。橋本治「リア家の人々」(480枚一挙掲載)の主人公、砺波文三だ。明治生まれの文三は帝大卒の文部官僚として敗戦を迎え、公職追放の憂き目にあうが、やがて復職する。本作はこの「凡庸な中堅官僚」と妻と三人の娘の物語であり、一家が生きた昭和という時代の物語でもある。一方に、崇高にして矮小な人間心理を描き尽くすミクロな筆致があり、他方に、彼らの生の土台である日本を国際政治経済の運動の中に置くマクロな認識がある。「知識人」の旧い定義に収まらない知の運動者、橋本氏の叡智が全て注ぎ込まれた長篇小説だ◎大澤信亮「批評と殺生――北大路魯山人」(130枚)は、他の生き物を殺すことで生きている人間を、そしてそんな人間の為す批評という行為を根底から再考する。利休からカント、デリダまで、舌の記憶から虚構までを動員し、美と食の怪物、魯山人と対峙する。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞