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デビュー作・一挙掲載650枚! 松家仁之「火山のふもとで」

新潮 2012年7月号

(毎月7日発行)

特別定価1,047円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/06/07

発売日 2012/06/07
JANコード 4910049010723
定価 特別定価1,047円(税込)

火山のふもとで/松家仁之
先生は、小さな声で呟くように、建築史に残る建物を生み出す。生を豊かにする空間とは? 浅間山のふもとの山荘で、設計コンペの戦いとロマンスの時が静かに深々と刻まれる――。超大型新人デビュー!
[デビュー作・650枚一挙掲載]

ニッチを探して/島田雅彦
我思うがゆえに、我消える。生存のための適所(ニッチ)を求め、都市から砂漠へ、電脳空間へ、さらにあの世へ。失踪した銀行員のめくるめく旅!
[新連載小説]

強震モニタ走馬燈/葬式とオーロラ[短篇二作]/絲山秋子

枝豆/橋本 治

いつも彼らはどこかに/小川洋子
 第二回・ビーバーの小枝

小人たち ちょうちんそで/江國香織

■連載小説
・双頭の船(四)/池澤夏樹
・満月の道(七)/宮本 輝
・フィルムノワール/黒色影片(二十九)/矢作俊彦

第45回《新潮新人賞》応募規定

■第25回三島由紀夫賞発表
【受賞作】私のいない高校(一部掲載)/青木淳悟
【選評】辻原 登/高村 薫/川上弘美/町田 康/平野啓一郎
◆受賞記念エッセイ/青木淳悟
◆受賞記念対談「小説の境界を越える小説」/保坂和志+青木淳悟

■ 特別対談 ■
未来の読者へ――「子ども」の小説と「原発」の小説を書いて/高橋源一郎+川上弘美

■ 特別対談 ■
世界文学はアメリカ文学である/都甲幸治+柴田元幸

■ 東京大学最終講義 ■
Murdering the Time――時間と近代/松浦寿輝

地上に星座をつくる/石川直樹
 第三回・エベレストの犬

夜露死苦現代詩2.0 ヒップホップの詩人たち/都築響一
 第十三回・あの日の夢なら今見てたんだ――NORIKIYO

アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える/池田純一
 第二十五回・タイタニックが拓いた現在

世界同時文学を読む(十二)/都甲幸治
 アメリカの幻――リン・ディン『憎しみに似た愛』

見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
 第九十八回・カッセル――小屋と自画像2

■新潮
・すべてのビートルズはすべからくターンテーブル上で平等に再生表現される権利を有する/兜田麟三
・「きらめく破片」たち/荒井裕樹
・ジャンヌ・ダルク生誕六〇〇年によせて/みつじまちこ

■本
・トマス・ピンチョン『LAヴァイス』/大森 望
・多和田葉子『雲をつかむ話』/鹿島田真希
・中原昌也『悲惨すぎる家なき子の死』/金井美恵子
・保坂和志『カフカ式練習帳』/丹生谷貴志
・黒川 創『いつか、この世界で起こっていたこと』/野崎 歓
・水村美苗『母の遺産 新聞小説』/山城むつみ

編集長から

「新潮」初の大型デビュー作
◎松家仁之「火山のふもとで」――原稿用紙六百枚を超える新人のデビュー作を発表するのは小誌創刊以来、初めてではないか。本作は賭けだ。《オリジナリティと深い世界観を持ち、フィクションの歓びを存分に与えてくれる小説を、読者に届けることができるか?》という、今年一〇八年目の文芸誌の賭けなのだ◎大学を卒業したばかりの「ぼく」が、ある設計事務所に入所した一九八二年から物語は始まる。所長はかつて巨匠F・L・ライトの弟子であった老建築家。この年の夏、約十年ぶりに噴火した浅間山のふもとの山荘で、戦いとロマンスが始まった。国立図書館の設計コンペという戦いが。そして、主人公の秘めやかな恋が。ライトの名建築がペンと定規から生まれたように、本作は清潔な文章のコツコツとした積み重ねで、「火山のふもと」に流れた一度きりの〈時〉を描く。浅間山の地鳴りのように、読者の精神を静かに、だが深々と震わせてくれることを祈る。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞