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舞城王太郎(110枚)「美味しいシャワーヘッド」

新潮 2012年8月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/07/06

発売日 2012/07/06
JANコード 4910049010822
定価 特別定価996円(税込)

美味しいシャワーヘッド/舞城王太郎
真夜中の多摩川。呪われたウナギ。レインボーブリッジでの死の誘惑。リアルなのに、どこか壊れた世界を生きるために「大事なこと」とは?

地蔵丸/古井由吉
生きてあることのかなしみを叫ぶ泣き声は老いの空耳か聴覚(きこえ)の影か。

ニッチを探して [第二回]/島田雅彦

いつも彼らはどこかに/小川洋子
 第三回・ハモニカ兎

錵(にえ)/藤沢 周

死小説[第四章]/荒木経惟

風邪を治すには/スミス対ジョーンズ事件の証拠/ワシントン将軍の黒人従者
 マーク・トウェイン  柴田元幸/訳・解説

最終回/最果タヒ

■ 特別対談 ■
苦役列車――「青春の落伍者」を乗せて/西村賢太+山下敦弘

■ 特別対談 ■
予兆を描く文学/古井由吉+中村文則

第45回《新潮新人賞》応募規定

◆◆ 新発見 ◆◆
福永武彦 一九四九年日記
「思ふこと、死、自殺、運命的な愛」。福永文学の核心を生み出した三十歳・闘病期の魂の記録。

・一九四九年の福永武彦/池澤夏樹

吉田健一[第四回・150枚]/長谷川郁夫

地上に星座をつくる/石川直樹
 第四回・手で尻を拭く

夜露死苦現代詩2.0 ヒップホップの詩人たち/都築響一
 第十四回・賭けるものがないんです、人生でいいですか――ZONE THE DARKNESS

アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える/池田純一
 第二十六回・起業家が向かう民間宇宙開発

世界同時文学を読む(十三)/都甲幸治
 ユダヤ人とはなにか――ネイサン・イングランダー『アンネ・フランクについて語るときに我々の語ること』

見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
 第九十九回・カッセル青春白書――小屋と自画像3

■新潮
・結句、慊(あきたりな)い/西村賢太
・娘のくれた「肩たたき券」――新しい経済をゼロから作る/坂口恭平
・音に見る大竹伸朗のドクメンタ/畠中 勝

■本
・伊坂幸太郎『夜の国のクーパー』/佐々木 敦
・島田雅彦『英雄はそこにいる』/陣野俊史
・藤沢 周『武曲』/富岡幸一郎
・阿部和重『幼少の帝国』/古市憲寿
・柴崎友香『わたしがいなかった街で』/古谷利裕
・中村文則『迷宮』/村田沙耶香

■連載小説
・双頭の船(五)/池澤夏樹
・満月の道(八)/宮本 輝
・あか(赤ん坊)の たんじょっ(誕生)の ゆえごっ(祝い事)に
 [遊女考(九)]/村田喜代子
・フィルムノワール/黒色影片(三十)/矢作俊彦
・還れぬ家(三十五)/佐伯一麦

編集長から

新発見 福永武彦一九四九年日記
◎一昨年、新発見「福永武彦戦後日記」を小誌が発表できたのは、長男・池澤夏樹氏の多大な尽力によるものだった(後に小社より書籍化)。一九四五年から四七年にかけての、文学への情熱と病魔に引き裂かれた魂の記録は反響を呼んだが、実は武彦自身が後にこう記している。「先日ふと一九四九年一月から七月迄の日記を読みかへしてゐると、僕の書いたもののうちこれが一番いいものであるかもしれないと思つた」。その述懐が残るのみで、所在が不明だった「四九年日記」が今回ついに発見されたので、エッセンスを読者と共有する◎三十歳の武彦は一月一日を結核療養所で迎える。「思ふこと、死、自殺、運命的な愛」。翌日、「自殺を思ふ、孤独感痛烈」。だが、この底なしの絶望が後の福永文学の種子となったことを二〇一二年の私たちは知っている。刻まれた言葉は残る。そしていつか蘇り、私たちの精神を震わせるのだ。それはこの日記に限らないはずだ。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞