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古川日出男「女たち三百人の裏切りの書」(新連載・150枚)

新潮 2014年4月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2014/03/07

発売日 2014/03/07
JANコード 4910049010440
定価 特別定価996円(税込)

女たち三百人の裏切りの書/古川日出男
【新連載・150枚】
紫式部の怨霊が真の源氏物語を語り直す。海賊たち武士たちが陸海に跋扈する。孤島に流された異族たちが都を目指す。全てが一つに結晶するメガストーリー!

徘徊タクシー[180枚]/坂口恭平
亡き祖父の車に認知症の曾祖母を乗せ、僕は記憶による時空を超える旅に出た。現実世界を多元化して幻視する新鋭の驚異的想像力!

吉祥院、久世橋付近[100枚]/黒川 創
平安京の南西の隅の低湿地に、桂川の水が注ぎ込む。流れ着いた男と女、人生の一瞬の交差。

母と娘の変/長野まゆみ

2とZ/内村薫風

■■ 連載小説 ■■

繭[第二回]/青山七恵

土の記[第四回]/高村 薫

電車道[第四回]/磯崎憲一郎

疒(やまいだれ)の歌[第五回]/西村賢太


『震災後文学論』のあとで/木村朗子
〈震災後文学〉を追い続け、その本質を問う研究者の最新報告。

吉田健一[第十回・100枚]/長谷川郁夫
人生の長い黄昏を迎えた「最後の文士」は文壇の旧弊を打破するため、ひとり反逆し続ける。

反復の永劫――古井由吉『鐘の渡り』論/安藤礼二

小林秀雄[第十回]/大澤信亮

島尾ミホ伝 『死の棘』の謎[第十四回]/梯 久美子

地上に星座をつくる 第二十一回・金沢の印刷立ち会い/石川直樹

見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
 第一一七回・ロンドンの水たまり

■新潮
・父との再会――「後藤明生・電子書籍コレクション」を始めて/松崎元子
・天空の城、リヴァイアサン/重田園江
・晴レノ日雪ノ日/井口奈己

■本
・小山田浩子『穴』/鴻巣友季子
・古川日出男『冬眠する熊に添い寝してごらん』/佐々木 敦
・佐伯一麦『渡良瀬』/田中和生
・多和田葉子『言葉と歩く日記』/谷崎由依
・池澤夏樹『アトミック・ボックス』/中条省平


編集長から

古川日出男
「女たち三百人の裏切りの書」

◎古川日出男の新連載「女たち三百人の裏切りの書」を開始する(第1回・150枚)。〈野心作〉というべきだろう。なにしろ『源氏物語』が改竄されたことを恨んだ紫式部が死から百年後に怨霊として復活し、「宇治十帖」を語りなおすというのだから。しかも、同時代に瀬戸内海に跋扈した海賊たちの物語が、絶海の孤島に流された異族たちの物語が、東北から山陰にまでネットワークを巡らせる武士たちの物語が、陸上に海上に展開し、やがて〈ひとつの巨大な物語〉へと結集するというのだから! それにしても、なぜ「女たち」なのか。なぜ平安時代なのか。そして、なぜ『源氏物語』(世界最古の長篇小説と言われ、世界で最も著名な「日本文学」)なのか。二〇一四年に本作が放つ大きな響きを、読者とともに聴き取っていきたい◎坂口恭平「徘徊タクシー」(180枚)が示す純度の高い想像力、木村朗子「『震災後文学論』のあとで」が示す日本文学の現在進行形の姿にもご注目を。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞