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【新潮新人賞受賞第一作】上田岳弘 「惑星」

新潮 2014年8月号

(毎月7日発行)

特別定価998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2014/07/07

発売日 2014/07/07
JANコード 4910049010846
定価 特別定価998円(税込)

【新潮新人賞受賞第一作】
惑星[190枚]/上田岳弘
2020年東京五輪が人類史の臨界点に? 世界の多様性と情報技術の拮抗から予言的な想像力が炸裂する。驚異のデビュー第二作!

カエルと男と女/大竹昭子
十五年ぶりの再会。停滞した同居生活。偶然と必然が鮮やかに解放した女と男の今日、未来。

獣(けもの)の南/二番目の少年[短編二作]/ブライアン・エヴンソン
柴田元幸/訳

ブライアン・エヴンソン、自作とアメリカ文学を語る (聞き手・柴田元幸)

ペインレス[第二回]/天童荒太

■■ 連載小説 ■■

長流の畔(三)/宮本 輝

名誉と恍惚(三)/松浦寿輝

薄情(三)/絲山秋子

女たち三百人の裏切りの書(四)/古川日出男

繭(五)/青山七恵

電車道(七)/磯崎憲一郎

◆第47回《新潮新人賞》応募規定

【特別原稿】
姦婦と佩剣/蓮實重彦
――十九世紀のフランス小説『ボヴァリー夫人』を二十一世紀に論じ終えた老齢の批評家の、日本語によるとりとめもないつぶやき――

吉田健一[第十二回・一五〇枚]/長谷川郁夫
残された時間は少ない。だが文士は文学を楽しむこと、そして生きる喜びを語り続けた。

「ただ書くために書く」ために/山城むつみ
―『明治の表象空間』(松浦寿輝・著)をめぐって

これからの大作 追悼・岩橋邦枝/津村節子

石川啄木[第三回]/ドナルド・キーン  角地幸男・訳

小林秀雄[第十三回]/大澤信亮

島尾ミホ伝 『死の棘』の謎[第十七回]/梯 久美子

地上に星座をつくる/石川直樹
 第二十三回・標高8400メートルのポイ捨て

見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
 第一二〇回・尼崎記憶工場

■新潮
・「政治的な言葉」とは――ベルリンでフクシマを問う/岩城京子
・ヤーンの『岸辺なき流れ』/安家達也
・リアルファイトの未来/松山 郷

■本
・すが秀実『天皇制の隠語』池田雄一
・角田光代『平凡』/戌井昭人
・青山七恵『風』/倉本さおり
・星野智幸『夜は終わらない』/杉田俊介

編集長から

「太陽」から「惑星」へ。
上田岳弘の飛翔。

◎新潮新人賞を「太陽」で獲得した上田岳弘氏の受賞第一作「惑星」(一九〇枚)を発表する。受賞作で人類の進化と終焉を大胆に構想してみせた書き手にとって、実は「太陽」と「惑星」が二作でひとつの〈巨大なデビュー作〉だったのではないか。作品世界のスケールは受賞作にひけをとらず、想像力の精度を高めながら、「惑星」の物語は2014年の東京・イスタンブール・カリフォルニアからオリンピック開催の2020年・東京に向けて疾走する。そこで幻視されたのは、携帯端末を通じて情報の海にたゆたい、繋がりあう現代人のリアルでグロテスクな肖像画だ◎蓮實重彦氏の畢竟の大作『「ボヴァリー夫人」論』(筑摩書房)刊行に際し、長篇随想「姦婦と佩剣」を著者自らに寄稿していただいた。副題は「十九世紀のフランス小説『ボヴァリー夫人』を二十一世紀に論じ終えた老齢の批評家の、日本語によるとりとめもないつぶやき」。人と小説とのもっとも豊かな関係がここにある。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞