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第46回新潮新人賞発表 高橋弘希「指の骨」

新潮 2014年11月号

(毎月7日発行)

特別定価998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2014/10/07

発売日 2014/10/07
JANコード 4910049011140
定価 特別定価998円(税込)

太平洋戦争屈指の激戦地となった南洋の島で兵士は何を体験したのか。圧倒的リアリティで選考委員を驚愕させた新世紀戦争文学。
【インタビュー】なぜ「戦争」なのか

【選評】川上未映子 桐野夏生 中村文則 福田和也 星野智幸

夢魔去りぬ/西村賢太

心のレタリング/青木淳悟

亀が泳ぐ/玄 月

海賊のうた/いしいしんじ
21世紀の小説家が海賊になった? 現在・現実を鮮やかに変容させるマジカルな想像力!

■■ 連載小説 ■■

ペインレス(四)/天童荒太

薄情(五)/絲山秋子

長流の畔(五)/宮本 輝

名誉と恍惚(六)/松浦寿輝

女たち三百人の裏切りの書(七)/古川日出男

繭(八)/青山七恵

電車道(十)/磯崎憲一郎



◆第22回萩原朔太郎賞発表◆
【受賞作】隣人のいない部屋/三角みづ紀
【選評】岡井 隆 高橋源一郎 平田俊子 松浦寿輝 吉増剛造

東浩紀論――楽しむべき批評/杉田俊介
その思想家を貫く「希望」とは。最新の試みから起源へと遡行し、東哲学の可能性を開く。

丸谷才一の顔を避けて/垂水千恵
――『裏声で歌へ君が代』試論

■ 追悼・稲葉真弓 ■
命のひみつとともに/津島佑子

石川啄木[第六回]/ドナルド・キーン  角地幸男・訳

小林秀雄[第十六回]/大澤信亮

島尾ミホ伝 『死の棘』の謎[第二十回]/梯 久美子

地上に星座をつくる/石川直樹
 第二十六回・沖縄のワークショップ写真学校

見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
 第一二三回・ロン貼ドン

■新潮
・ゾーンにて/亀山郁夫
・余白/華 雪
・音の手触り/小野寺弘滋

■本
・津村記久子『エヴリシング・フロウズ』/倉本さおり
・長谷川郁夫『吉田健一』/柴田光滋
・山城むつみ『小林秀雄とその戦争の時 『ドストエフスキイの文学』の空白』/前田英樹
・戌井昭人『どろにやいと』/宮沢章夫

編集長から

混乱と驚きと賞賛
第46回新潮新人賞発表

 1800作を超える応募作を集めた第46回新潮新人賞が全選考委員の強い支持を得て、高橋弘希(34歳)「指の骨」に決定した。主人公は21歳の日本人青年。舞台は赤道を越えた南洋の島。そこは日本軍と米国軍が戦う場所、しかも、愛国心はおろか生への意志さえ蒸発するような激戦地である。読者がまず驚嘆するのは、主人公の目に映る戦場が異常にリアルなことだろう(たとえば、主人公が嗅ぎ分ける複数の死臭の差異)。ならば本作は巧緻な戦争シミュレーション小説なのか? だが選考陣を唸らせたのは、戦場のリアリティ以上に、極限状況におかれた〈ひとりの人間の生〉のリアリティだったのではないか。ある選考委員は、第二次大戦での戦闘体験を描いた戦争文学と「同じ質」を感じることに混乱と驚きを禁じ得なかった。ある選考委員は、優れた描写を支える認識の深さを指摘し、「傑作」の二文字を惜しまなかった。新たな、そして希有な才能の登場にご注目いただきたい。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞