第46回新潮新人賞発表 高橋弘希「指の骨」
新潮 2014年11月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2014/10/07 |
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JANコード | 4910049011140 |
定価 | 特別定価998円(税込) |
【インタビュー】なぜ「戦争」なのか
【受賞作】隣人のいない部屋/三角みづ紀
命のひみつとともに/津島佑子
第二十六回・沖縄のワークショップ写真学校
第一二三回・ロン貼ドン
・ゾーンにて/亀山郁夫
・余白/華 雪
・音の手触り/小野寺弘滋
・津村記久子『エヴリシング・フロウズ』/倉本さおり
・長谷川郁夫『吉田健一』/柴田光滋
・山城むつみ『小林秀雄とその戦争の時 『ドストエフスキイの文学』の空白』/前田英樹
・戌井昭人『どろにやいと』/宮沢章夫
編集長から
第46回新潮新人賞発表
1800作を超える応募作を集めた第46回新潮新人賞が全選考委員の強い支持を得て、高橋弘希(34歳)「指の骨」に決定した。主人公は21歳の日本人青年。舞台は赤道を越えた南洋の島。そこは日本軍と米国軍が戦う場所、しかも、愛国心はおろか生への意志さえ蒸発するような激戦地である。読者がまず驚嘆するのは、主人公の目に映る戦場が異常にリアルなことだろう(たとえば、主人公が嗅ぎ分ける複数の死臭の差異)。ならば本作は巧緻な戦争シミュレーション小説なのか? だが選考陣を唸らせたのは、戦場のリアリティ以上に、極限状況におかれた〈ひとりの人間の生〉のリアリティだったのではないか。ある選考委員は、第二次大戦での戦闘体験を描いた戦争文学と「同じ質」を感じることに混乱と驚きを禁じ得なかった。ある選考委員は、優れた描写を支える認識の深さを指摘し、「傑作」の二文字を惜しまなかった。新たな、そして希有な才能の登場にご注目いただきたい。
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?
文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。