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嶽本野ばら「純愛」(430枚一挙掲載)

新潮 2015年2月号

(毎月7日発行)

特別定価998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2015/01/07

発売日 2015/01/07
JANコード 4910049010259
定価 特別定価998円(税込)

純愛[四三〇枚一挙掲載]/嶽本野ばら
アニメ好きの大学生はなぜ「革命」に挑んだのか? 新しい共産主義、オタクとネットの未来、そして愛する人に青年は命を賭けた。身を切るように哀切な、恋と革命の寓話。

K2/服部文祥
その高き峰から生還するため、人は人であることを捨てた。生の根源に迫る極限の文学。

女を帰らせる朝食/羽田圭介

荒れ野にて[第二回]/重松 清

■■ 連載小説 ■■

女たち三百人の裏切りの書(十)[連載完結]/古川日出男

薄情(七)/絲山秋子

長流の畔(八)/宮本 輝

繭(十)/青山七恵

『仮面の告白』論[一〇〇枚]/平野啓一郎
三島由紀夫の性的自伝にして作家自身による生体解剖――その本質に肉薄する画期的論考。

■ 対談 ■
『重力の虹』の(楽しい)苦しみ方/佐藤良明×柴田元幸
《『重力の虹』配線図》収録

石川啄木[第八回]/ドナルド・キーン  角地幸男・訳

小林秀雄[第十八回]/大澤信亮

島尾ミホ伝 『死の棘』の謎[第二十二回]/梯 久美子

地上に星座をつくる/石川直樹
 第二十八回・ヴァナキュラーな音楽

見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
 第一二五回・シンガポールの版画工房で

■新潮
・飴屋法水のこと――『いりくちでくち』に参加して/内野 儀
・とりとめなく庭が/三角みづ紀
・フクシマ後の世界で感じるズレと乖離/清野栄一
・道東旅行記――アイヌのこと、少しずつ/杉田俊介
・第二次多感期/鈴木 杏

■本
・アリス・マンロー『愛の深まり』/小山太一
・多和田葉子『献灯使』/日和聡子


編集長から

グロテスクな現実に拮抗
する愛と革命の寓話

◎嶽本野ばら「純愛」(430枚)を一挙掲載する。舞台は震災から1年後の東京。アニメ好きの平凡な男子大学生である主人公は、左翼活動に邁進する女子学生と出会い、彼女への政治的共感と愛情の区別もつかぬまま、やがて途方もない企てに参加する。それは「革命」だ――◎この荒唐無稽すれすれの劇を、〈愛と幸福〉をめぐる(ワイルド「幸福な王子」のような)哀切な寓話に結晶化しえたのは、作者の稀有な資質、豪腕と言うべきだろう。いま我々の眼前に拡がるグロテスクな現実に、特異な想像力が拮抗する◎平野啓一郎「『仮面の告白』論」は、24歳の三島由紀夫が「自分で自分の生体解剖をしよう」とした代表作の本質に迫り、三島を天皇主義回帰~自決に至らしめた「原型的な思考」を見出す。画期的な三島論ではないか◎佐藤良明と柴田元幸の対話「『重力の虹』の(楽しい)苦しみ方」は現代世界文学の最高峰トマス・ピンチョンの怪物的代表作へ私たちを誘う。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞