金原ひとみ「軽薄」(400枚一挙掲載)
新潮 2015年7月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2015/06/05 |
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JANコード | 4910049010754 |
定価 | 特別定価998円(税込) |
・パリ公演日誌/野田秀樹
・「悟り」は恐くない/魚川祐司
・【謹啓】父が死んデビュー/青木淳悟
【受賞作】私の恋人(一部掲載)/上田岳弘
立ち読みはこちら
◆愚かさに対するほとんど肉体的な厭悪/蓮實重彦×磯崎憲一郎
◆友よ、やすらかに瞑れ/前田速夫
第一三〇回・ゴミ屋敷プロジェクト
・宮本 輝『田園発 港行き自転車』/栗田有起
・金原ひとみ『持たざる者』/斎藤 環
・筒井康隆『世界はゴ冗談』/都甲幸治
・大江健三郎・古井由吉『文学の淵を渡る』/蓮實重彦
編集長から
金原ひとみ「軽薄」
◎金原ひとみ氏の長篇小説「軽薄」(四〇〇枚)を一挙掲載する。主人公は三十歳を目前にした女性カナ。良き夫と子供に恵まれ、自身の仕事も順調だ。だが、未成年の甥と肉体関係を持ってしまい、二人の関係は少しずつ致命的な領域へと進んでいく……。この小説は、しかし、幸福な人生の崩壊というありふれた悲劇を描くのではない。なぜなら、かつて十代で運命的な愛とその壮絶な終焉を体験してしまったカナは、初めから〈悲劇の後〉の世界を生きているのだから。そう、この物語は決定的な悲劇を経ても生き続けるしかない人間の姿を執拗に描き、その精神がさまよう灰色の世界にもう一度色彩が宿るぎりぎりの可能性を探求する。デビュー作『蛇にピアス』より十二年後に作家が切り開いた新境地だ◎第28回三島由紀夫賞が上田岳弘「私の恋人」(小誌掲載)に決定した。本号では選評等の発表にあわせ、上田氏とその新人賞デビューにかかわった川上未映子氏に対話をしていただいた。
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?
文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。