【新連載】島田雅彦「黎明期の母」
新潮 2016年2月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2016/01/07 |
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JANコード | 4910049010266 |
定価 | 特別定価998円(税込) |
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・ムラの欲望、ラムの夢/開沼 博
・綺想を育てる/池田純一
・冬の庭/長井和博
・村の運動会/壺井 栄
・遅桜/大佛次郎
・嫌はれもの/武田麟太郎
・沈黙の島/石川達三
・異郷の新春/佐藤春夫
・新年述志/斎藤茂吉
移動性(モビリティ)と滞在(レジデンシー)の現場から/内野 儀
――絲山秋子『薄情』論/田中和生
最終回・アシュリ・ウィルクスの名誉と性欲
第三十七回・カラコルムの水晶
第一三六回・船型の気分
・原田宗典『メメント・モリ』/片山杜秀
・津村記久子『この世にたやすい仕事はない』/谷崎由依
・円城 塔『プロローグ』/丹生谷貴志
・池澤夏樹『砂浜に坐り込んだ船』/山本貴光
編集長から
再生を欲望せよ
◎島田雅彦氏の新連載小説「黎明期の母」を開始する。島田氏は旧作『ニッチを探して』(小誌連載)で、不祥事の疑惑を受け、失踪を余儀なくされた銀行員の都市内サバイバルを描いてみせた。そこで氏が賭けたのは、過酷な世界からのドロップアウトが本質的な生の回復に反転するぎりぎりの可能性だったのではないか? だが、「黎明期の母」で失踪したのは若き主人公ミロクではない。主人公以外のすべての人なのだ! 舞台は近未来の日本。予告もなく、無人世界に放り出された主人公の漂泊に、作者は何を賭けるのか? 突然の天変地異のように激しく動き始める物語から、読者への小説家の挑発の声が鳴り響くようだ。滅亡を想像せよ、再生を欲望せよ、と◎「黎明期の母」とは、哺乳類の祖先エオマイアの学名の訳意。エオマイアは絶滅したが、サバイバルした別の命をヒトは受け継いだ。そう、私たちの生は、常に/既に、滅びと生存の界面上にある。あなたはそれに気づいているはずだ。
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?
文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。