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【新連載】絲山秋子「NPAO」

新潮 2016年3月号

(毎月7日発行)

特別定価998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2016/02/05

発売日 2016/02/05
JANコード 4910049010365
定価 特別定価998円(税込)

NPAO[新連載]/絲山秋子
わたしが死んだことを彼女は知らない――。存在と時間の裂け目から、死者はかつての恋人に想いを送る。繊細で鮮烈な感情の物語。
⇒立ち読みはこちら

逆鱗[長篇戯曲]/野田秀樹
潜水鵜たちは志願した。水底の人魚を探し出す任務に。だが、海中水族館にNINGYOが現れて――時代の深海へ飛び込む衝撃作!

今日は昨日の明日/森内俊雄
シューベルトの響きとともに、「われわれの青春」が蘇る。著者二十歳の精神の記録。

悲劇犬/加藤幸子
敗戦直後の日本で、著者一家のかたわらにいた犬自身が物語る。種を超えた、命の共生。

或る小景、黄昏のパース/藤沢 周
真冬の新潟に帰省した小説家の胸に、過去の小景が去来する。無人の実家に記憶は舞った。

修那羅(しょなら)/諏訪哲史
屈託と感傷を抱えて、雪深い信州を旅する男一人。真夜中の峠で見た異様な光景とは……。

黎明期の母(二)/島田雅彦
⇒(一)立ち読み[全文掲載]

TIMELESS(二)/朝吹真理子

■■ 連載小説 ■■

岩場の上から(四)/黒川 創

籠の鸚鵡(七)/辻原 登

光の犬(七)/松家仁之

荒れ野にて(十四)/重松 清

長流の畔(十九)/宮本 輝

名誉と恍惚(十九)/松浦寿輝

■■ 特別鼎談 ■■
死を擬態し、生を超える/横尾忠則+瀬戸内寂聴+浅田 彰
⇒立ち読みはこちら

数学者岡潔の「最終講義」/森田真生
「新潮」で小林秀雄と伝説の対話を交わした天才数学者。その壮大な世界観がいま蘇る!

「月刊毎日」発掘の続報/石川 巧

批評の魂[第三回]/前田英樹

小林秀雄[第三十回]/大澤信亮

島尾ミホ伝 『死の棘』の謎[第三十三回]/梯 久美子

地上に星座をつくる/石川直樹
 第三十八回・ヤマハゲを見に行く

見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
 第一三七回・現代と絵

■新潮
・永遠の過渡期にあって/宮内悠介
・サイト/横田大輔
・都市社会学の「下位文化」/田村公人

■本
・青山南・編訳『パリ・レヴュー・インタヴューI・II』/坪内祐三
・村田沙耶香『消滅世界』/伊藤朱里
・佐々木敦『ゴダール原論 映画・世界・ソニマージュ』/細馬宏通
・青木淳悟『学校の近くの家』/松田青子

第48回《新潮新人賞》応募規定

編集長から

虚構を突き破る想像力 野田秀樹「逆鱗」

野田秀樹氏の二〇一三年以来の最新戯曲「逆鱗」を掲載する。読者は脳内劇場に上演される虚構空間に一瞬で引き込まれるだろう。それを可能にするのは言語と身体を自在に往還する作者の稀有な運動性やヒューモアの強度だ。だが、野田作品の真骨頂は、その先にある。誌面/舞台の上に立ち上がる虚構を突き破るように、私たちの眼前にある過酷な現実が、消去不可能な過去の悲劇が、そして誰もが無意識に予感する未来の危機が、劇的に押し寄せてくるのだ。「逆鱗」のモチーフは人魚。人間の想像力から生まれたロマンチックで時にグロテスクな存在だ。だが、野田氏が新たな光を照らした瞬間、人魚はあの七〇年前の悲劇を召喚し、未来の危機を予言する。これこそが想像力の力だ◎絲山秋子氏が力作長篇「薄情」の完成から時をおかず開始する新連載「NPAO」、横尾忠則瀬戸内寂聴+浅田彰の三氏が存分に語り合った対話の記録、等々。本号にみなぎる創造性にご注目いただきたい。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞