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宮本 輝「野の春」(新連載100枚)
古井由吉「その日暮らし」
長谷川郁夫「編集者 漱石」(新連載100枚)

新潮 2016年10月号

(毎月7日発行)

特別定価998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2016/09/07

発売日 2016/09/07
JANコード 4910049011065
定価 特別定価998円(税込)

野の春[新連載・一〇〇枚]/宮本 輝
『流転の海』第九部・完結篇

 累々たる失敗と挫折の果てに熊吾一家はどこに向かうのか? 執筆三十五年の自伝的大河小説、ついにライフワーク最終部スタート!

◆その日暮らし[連作完結]/古井由吉

 肉体は腐れて改まる。衰弱と快癒が交わる。杖に頼る身となっても、作家は書き続ける。

◆眼魚/星野智幸

 眼玉のような花と出会って、世界に急性落涙症候群が蔓延した。現在を揺さぶる想像力!

◆マヤコフスキーリング[連作完結]/多和田葉子

 わたしの隣にすわっているのはマヤコフスキーだった――街から贈られた出会いと別れ。

◆似非(えせ)りんご味[新潮新人賞受賞第一作]/高橋有機子

 僕らの友情は偽物か? りんごの「本当の味」を知ってしまった僕は、彼を守ると約束した。

■■ 連載小説 ■■

■エリザベスの友達(四)/村田喜代子

■ミライミライ(五)/古川日出男

■TIMELESS(七)/朝吹真理子

■黎明期の母(九)/島田雅彦

■岩場の上から(十一)/黒川 創

■光の犬(十四)/松家仁之

■荒れ野にて(二十一)/重松 清

◆第15回《小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞》発表

◆第48回《新潮新人賞》予選通過作品発表

◆第49回《新潮新人賞》応募規定

[新連載]

編集者 漱石 第一章・正岡子規/長谷川郁夫

 日本近代文学最初・最高の文学者=編集者は漱石である! 新視点で文学史を更新する。

《追悼・柳瀬尚紀》

◆柳瀬尚紀氏追悼――夜の言語/吉増剛造
◆ガリヴァー旅行記 冒頭部/ジョナサン・スウィフト 柳瀬尚紀 訳

シン・ゴジラ論(ネタバレ注意)/加藤典洋

 戦後と災後が出会い、ゴジラは更新された。

◆怪物たちの身分証明――ベルリン・日本文学の旅/千木良悠子

 異国から考える、「物語る者」の自己同一性(アイデンティティ)。

◆死者と生きる――被災地の霊体験[第三回・完結]/奥野修司

 死者と生者が紡ぐ物語の旅、ついに最終章へ。

■批評の魂[第十回]/前田英樹

■小林秀雄[第三十七回]/大澤信亮

■地上に星座をつくる/石川直樹
第四十五回・火山に登る

■見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
第一四四回・バワリーのゴミ星

■新潮
・制作のことば/荒川洋治
・ドイツでの「岡田利規」学会/内野 儀
・銀河鉄道を降りたら/小島ケイタニーラブ
・藤田嗣治から妻への手紙――百年の時を経て語りだす声/林 洋子

■本
・J・M・クッツェー『イエスの幼子時代』/伊藤 聡
・福永信編『小説の家』/大澤 聡
・崔 実『ジニのパズル』/藤沢 周

この号の誌面

立ち読み

編集長から

人生の仕事(ライフワーク)

宮本輝氏の新連載「野の春」(第一回一〇〇枚)を開始する。自伝的大河小説『流転の海』の完結篇である。自身の父を主人公のモデルとし、三十五年間に及び書き継がれてきた、まさに人生の仕事(ライフワーク)だ。だが、本作が描くのは作家自身の家族史だけではない。終戦直後から高度経済成長期に生きた数多くの登場人物の、それぞれにかけがえのない生を交響曲のように描いたことでも、『流転の海』を人生の仕事と呼ぶべきではないか◎古井由吉氏が一年をかけて書き続けた連作小説が「その日暮らし」をもって完結。臓器の「腫れ物」を手術し、杖に頼る身となったことを綴る七十八歳の作家の筆は、しかし何と自由なのか。幼少期の空襲の記憶を遡行し、蕪村の句の「寂寞」に共振し、散歩中に不意に襲われた心地よさに呆然とする――氏の生がそのまま結晶化した本作もまた、人生の仕事だ◎唯一無二の翻訳者・柳瀬尚紀氏の逝去を悼み、未完に終わった『ガリヴァー旅行記』冒頭部の翻訳を掲載する。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞