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第48回 新潮新人賞発表
第24回 萩原朔太郎賞発表

新潮 2016年11月号

(毎月7日発行)

特別定価998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2016/10/07

発売日 2016/10/07
JANコード 4910049011164
定価 特別定価998円(税込)

■■ 第48回 新潮新人賞発表 ■■

[受賞作]

二人組み/鴻池留衣(こうのいけるい)

 俺はなぜ彼女と居たいのか。自意識過剰少年と過小少女の恋=闘い。

【インタビュー】何度も味わいたくなる悲劇を

縫わんばならん/古川真人(まこと)

 祈るように人と土地の記憶を縫う。ある九州の島の血族四世代の物語。

【インタビュー】記憶を縫う

【選 評】川上未映子 桐野夏生 中村文則 福田和也 星野智幸

◆カストロの尻――Miscellany/金井美恵子

 男と女、魂と塊、狂おしい愛のエクリチュール。

◆梅枝/円城 塔

 極薄ディスプレイ本時代に本(モノ)作り職人は……

◆茄子の輝き/滝口悠生

 離婚も倒産も、思い出すたびに喜びがある。

◆野の春[新連載・第二回]/宮本 輝

■■ 連載小説 ■■

■岩場の上から(十二)[連載完結]/黒川 創

■ミライミライ(六)/古川日出男

■TIMELESS(八)/朝吹真理子

■黎明期の母(十)/島田雅彦

■光の犬(十五)/松家仁之

■ペインレス(十七)/天童荒太

第49回《新潮新人賞》応募規定

■■ 第24回 萩原朔太郎賞発表 ■■

[受賞作]砂文/日和聡子

【選 評】佐々木幹郎 建畠 晢 松浦寿輝 三浦雅士 吉増剛造

◆東京スカイツリーの麓で――あるコンゴ人難民の受難の物語/小野正嗣

 日本と難民の問題を露わにする衝撃の報告。

◆見えないものと見えるもの――黒沢清『ダゲレオタイプの女』論/佐々木 敦

 幽霊と幻影を取り違えた男の真の悲劇とは?

◆アラーキー/大竹昭子

 パリ大型展で初めて見えた天才写真家の本質。

◆韓国の読者へ/大城立裕

 沖縄と韓国が日米への愛憎を共有するために。

◆高度にスペクタクル的な快感―― 辻原登『籠の鸚鵡』を読む/亀山郁夫

■批評の魂[第十一回]/前田英樹

■小林秀雄[第三十八回]/大澤信亮

■地上に星座をつくる/石川直樹
第四十六回・カメ岩にのぼる

■見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
第一四五回・内箱と外箱

■新潮
・依存症/髙樹のぶ子
・「野火」の旅は終わらない/塚本晋也
・天才が語った、あんなこと、こんなこと
――手塚治虫 自身が語るルーツと音楽/濱田髙志
・ババ抜きをとらえ直す/細馬宏通
・母語のなかで異邦人になる/山本貴光

■本
・福嶋亮大『厄介な遺産――日本近代文学と演劇的想像力』/安藤礼二
・綿矢りさ『手のひらの京』/江南亜美子
・村田沙耶香『コンビニ人間』/小林エリカ
・山下澄人『壁抜けの谷』/藤井 光

この号の誌面

立ち読み

編集長から

教室の劇、島の記憶
第48回新潮新人賞発表

第48回新潮新人賞が1933篇の応募作より鴻池留衣(こうのいけるい)氏(29歳)の「二人組み」と古川真人(まこと)氏(28歳)の「縫わんばならん」に決定した。川上未映子桐野夏生中村文則福田和也星野智幸の5氏による全力の議論で選ばれた2氏は幸福だと思う◎鴻池氏「二人組み」の主人公は中学三年の男子・本間。趣味は授業妨害。性欲旺盛。愚かだが自らの愚かさを自覚する。大人の偽善を嗤うが己の偽善も知る。そんな本間が、同クラスの女子(坂本ちゃん)を都合よく支配しようとするが、その〈二人組み〉関係は一瞬で逆転するのだ。小さな教室の鮮烈なドラマだ◎古川氏「縫わんばならん」は九州の島を舞台に大戦期から現代にいたる四世代の血縁を描く。そう紹介すると「大河小説」のようだが、本作の挑戦は、島の小さな港に面した家に宿った、大文字の歴史とは無縁の人々の記憶を、忘却から救いだすことにあった。無数の記憶の断片を新人は「縫わねば」と意志したのだ。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞