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国分 拓「ノモレ 第一部 救世主の山へ」(250枚)
新連載 矢作俊彦「ビッグ・スヌーズ」
特集 ナボコフ――ロシアから未来へ

新潮 2018年1月号

(毎月7日発行)

特別定価998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2017/12/07

発売日 2017/12/07
JANコード 4910049010181
定価 特別定価998円(税込)

ノモレ 第一部 救世主の山へ[二五〇枚]/国分 拓

友よノモレ! 仲間よノモレ! 大アマゾン最深部で〈百年の孤独〉を抱えた先住民に、奇蹟が起きた。NHKディレクター(「ヤノマミ」「最後のイゾラド」)が放つ人類のための真実の物語ノンフィクション
ビッグ・スヌーズ[新連載]/矢作俊彦

戦後史の「地下」に生きてきた老婦人から元刑事への依頼。それは警官にしかできないが、警官には頼めないことだった。二村永爾新章!

◆雨[新連作]/田中慎弥

知人の息子を探してほしい――母の奇妙な依頼が作家の生活を静かに、深く変えていく。

◆スイスへ[新連作]/藤野可織

予期せぬ夫の不倫、そして離婚。小説家は「死という希望」を意識し始める。新境地連作!
◆愛と死の対決[新作詩+絵画]/草間彌生

愛のため/私は生きてきた――死をみつめる国際的芸術家の宇宙スケールのヴィジョン。

◆小さな町での暮らし/ここと、そこ/柴崎友香

国とは何か。それは「自然」なものなのか。作家は米国でアイデンティティを見つめ直す。
◆幻字/円城 塔

昭和二十X年、当主の遺言状、逆さまの死体。忌まわしき大量殺事件に名探偵の推理は!?
■■ 連載小説 ■■
◆キュー(四)/上田岳弘
◆格闘(十一)/高樹のぶ子
◆野の春(十五)/宮本 輝
◆荒れ野にて(三十一)/重松 清

[特集]ナボコフ――ロシアから未来へ

【初訳書き出しコレクション】
「マーシェンカ」/「キング、クイーン、ジャック」/「ルージン・ディフェンス」/「事件」/「ワルツの発明」/「密偵」/「処刑への誘い」/「父の蝶」/「魅惑者」
[対談]言語を旅する移民作家
多和田葉子/沼野充義
◆異次元の影――科学史から見たナボコフ/若島 正
■■ 特別原稿 ■■
◆ゲンロンと祖父/東 浩紀
◆国威発揚/杉本博司
◆アーレントの「反ユダヤ主義」を読みながら/平野啓一郎
◆祖母の背中/水村美苗

◆清冽な「北」の経験――松家仁之『光の犬』を読む/野崎 歓
◆鶴見俊輔伝[第三回・二〇〇枚]/黒川 創
■本
・青山七恵『踊る星座』/倉本さおり
・今福龍太『ハーフ・ブリード』/星野智幸
・佐々木 敦『新しい小説のために』/渡部直己

第50回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】 ●大澤信亮 ●川上未映子 ●鴻巣友季子 ●田中慎弥 ●中村文則

この号の誌面

立ち読み

編集長から

二一世紀の“百年の孤独”
――国分拓「ノモレ」

◎一九〇二年、アマゾン内奥で白人に酷使されていた先住民が叛乱し、森の中を半年以上逃亡した。追手に捕まる寸前、誰かが言った。「全滅を避けて二手に分かれよう」。右へ逃げた者は故郷に戻った。左へ逃げた者は森の中に消えた。帰郷した者は祈り、語り継いだ。「仲間ノモレに会いたい。息子たちよ、仲間ノモレを探してくれ」。それから百余年、“百年の孤独”を抱えた民に、奇蹟が起きた……◎原稿を一読し、驚嘆した。世界に隠されていた、かくも切実で大きな「物語」が掴みだされたことに。本作、国分拓「ノモレ」は「実話ノンフィクション」だ。国分氏はNHKディレクターとして「ヤノマミ」を制作、アマゾン最深部の先住民に迫り、同題のルポで大宅賞を受賞。そして二〇一六年、やはりアマゾンを舞台に「文明」非接触民を追い(Nスペ「最後のイゾラド」)、大反響を呼んだ。本作は同番組の取材から生れた作品だ。祈り、語り継ぐこと。文芸のコアがここにある――そう確信し、長編・全四八〇枚を二号連続で発表する。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞