◎金融危機の嵐が世界に吹き荒れ、〈資本主義の終焉〉さえ囁かれ、日本の出版界も不況に苦しみ(なのに『蟹工船』は飛ぶように売れ)、一日24時間の時間資源は加速度的にインターネットや携帯電話に費やされている今――ゼロ年代最後の年が始まろうとしている。文学者が時代のカナリアなのだとしたら、彼らはいったいどんな歌を奏でるのか。作品を通じていかに時代精神を表すのか◎二〇〇九年新年号では、佐藤友哉氏の長篇「デンデラ」(六三〇枚)をはじめ、現代日本を代表する文学者の最新作を多数発表する。他にも、蓮實重彦氏、多田富雄氏の新連載エッセイ、新発見・島尾敏雄未発表遺稿集(桐野夏生氏の紀行随筆を併録)などを掲載◎『日本語が亡びるとき 英語の世紀の中で』が話題の水村美苗氏とウェブ社会の第一人者、梅田望夫氏に存分に語り合っていただいた。次から次へと提示される挑発的な論点は文芸誌なりの問題提起だ。
新潮編集長 矢野 優