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第23回三島由紀夫賞 受賞者自身による【略歴】

東浩紀

一九七一年東京に生まれる。成績がよかったので筑波大学附属駒場に通う。また成績がよかったので東大文Iに進学する。このままでは法学部に行くことになるぞ、という時期になりようやく真剣に将来について悩みはじめる。二〇歳の秋、法政大学で教鞭を執っていた柄谷行人のもとに人生相談に行くが、阪神の話しかされず、一念発起して書いた文章が人生最初の評論。それが意外なことに『批評空間』に掲載されることになり、舞い上がって悩むのを止める。快調に大学院に行き博士号を獲得。博論と同じ文章を出版して一九九八年にデビュー。同年直前に結婚もしており順風満帆に思えたが、人生について考えてこなかったツケがついに回り、遅れたアイデンティティ危機に陥る。そもそもおれ、思想とか評論とか好きじゃなかったんじゃね?的な気分になり批評空間派を離脱。流浪のサブカル漫遊の旅に出る。二〇〇一年に『動物化するポストモダン』を出版して新基盤を固め、二〇〇三年にはエンタメ誌に深く関わるがのち失望する。二〇〇四年にメルマガを発行するも購読者は伸びず、いつのまにか入所していたシンクタンクでは派閥闘争に巻き込まれ二〇〇六年に退所。新時代の文学理論を記したつもりだった新著は不発。全体的に不調で、もはやこれは日本脱出か引退しかないのかと思い詰めていたところに、意外なプチ思想ブームが到来して華麗に再生。ゼロ年代思想で「独り勝ち」したとか称されるが、あまりにアホらしいので、本物の人生に向かいあうべく小説を書くことにしていまに至る。

*この文章は、2010年6月25日、三島由紀夫賞贈呈式会場にて配布したパンフレットに掲載されました。


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