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はじめての麦わら帽子
本上まなみ
すったもんだの末、家族が増えました。予想以上にめまぐるしく、充実感に溢れた毎日のことや、大好きな映画や本や旅のことなど、いろんな瞬間のいろんな気持を綴りました。ほんじょの最近の暮らしぶりをお伝えする最新へもへもエッセイ集。はじめて麦わら帽子をかぶって遊んだあの夏の日を、あなたは覚えていますか?
ISBN:
978-4-10-317121-8
発売日:
2009/08/31
1,365
円(定価)
波 2009年9月号より
【著者インタビュー】小さい人への思いを込めて
本上まなみ
――タイトルについて話していただけますか?
本上
今度のエッセイ集は、自分が子供を持ったし、自分の幼いころという意味も含めて、小さい人への気持ちを中心にまとめました。装幀にもタイトルにもそういう思いがさりげなく表せればいいなと思い、いろいろ考えました。自分の思い出の中でも夏の思い出は結構強烈で、夏のモチーフで何かと探して、麦わら帽子に落ち着きました。
――ご自分でもかぶっていらっしゃるのですか?
本上
いつもかぶってますよ。小さいころから幾つも幾つも持っていて、新調する年もあれば去年のをかぶっていることもあれば、去年のを今年は妹がかぶっていたりとか、そういう思い出がたくさんあります。
麦わら帽子を買うときって自分のそのときの気分がすごく反映されて、ちょっと格好いいものを買ったりとか、ちょっと田舎っぽいのが良かったりとかするんですよね。子供も、今はまだ私が見つくろったものをおとなしくかぶっていますが、そのうちだんだん自分で選ぶようになるんでしょうね。
――四年ぶりのエッセイということですが、日記をつけていらっしゃるのですか?
本上
時々何か面白いことがあったときにつけています。たいていは夜、家族が寝静まったころ書きます。
エッセイを書くときの私は、いつも一生活者としての視点を大事にしたいと考えていて、男性でも女性でも、仕事とか学校とか毎日の生活を大切にしている方たちに読んでいただければと思っています。
――日常を大切にしたいというお考えは、『
ほんじょの虫干。
』のころから変わっておられませんね。
本上
子供が出来て一番変わったのは、自分自身のペースで暮らせなくなったことです。時々それが気づまりになったりする瞬間もあるのですが、でも今だけのきゅうくつさを楽しもうとも思っています。というのは私はいとこが多くて、14人で兄妹みたいにして育ったので、小さい人の成長ぶりがよくわかるんです。毎年田舎に帰るたびに彼らを見ていると、去年おしめしていたのにもうしていないやとか、すごく人見知りだった子がほかの子とセミとりに行っちゃったとか、いろんなことがあって。
娘のことは、本当に今の一瞬一瞬を少しでも逃すことなく全部見ておかなくてはと思います。根っからの観察好きなので、何でこの小さい人は私のお腹から出てきたのに想像もつかないような行動をとるのかしらとか考えると面白くて……。
子供ができて初めてのことをたくさん経験しましたが、子供が来る前のことを思い出してみても、やはり毎日珍しいもの、楽しいもの、新しいものを求めていた気がします。それはレストランに食べたことないものを食べに行くときの気持ちだったりとか、旅行に行ってはじめて見る珍しい景色に感動したりとか、そういうことがすごく好きだったし、今もそれはあまり変わっていません。
――ご両親から自分を通じてお子さんに何か伝わっているな、みたいなことを感じることはありますか?
本上
おとんと私とか、おかんと私とか、おばあちゃんと私とか、家族、親族のつながりが私はわりに濃いほうなので、その中で似た言動を目の当たりにするとうれしかったり楽しかったり、ときにはうんざりしたりとかがいっぱいあります。今はもう一つ下の世代につながったということで、娘を見ていると確実に夫のDNAが入っているところとか、私と同じしぐさが入っていたりとかするのが発見できてとてもおもしろいですね。
娘は非常におしゃべりで、私の母や夫の母によく似ているんです。私と夫の二人のときは家がすごく静かで、しゃべってもぼそぼそしか聞こえないと母に言われるのに。不思議な血のつながり方というか、脈々と受け継がれてきたものは親だけじゃなくて、その先のところから来ているものだというのを目の当たりにすると、結構衝撃的です。
子供が出来る前に不安に思っていたことはたくさんありました。でも例えば仕事にエネルギーを注げるのかとかを産む前からくよくよ考えても仕方がないし、もうどっしり構えるしかないんだということがわかりました。そして子供って夫婦二人だけで育てられるものでもないというのもわかりました。
――読者へのメッセージをいただけますか。
本上
子供がいても毎日こんなに楽しいことがある、何か我慢しなければいけなかったり、おっぱいあげる場所を探さなきゃいけないとか煩わしいことはありますが、楽しめるところもいっぱいあるということを、まだ経験してない方に知ってほしいと思うし、そういう発見ができたことを経験者に、ああそうだよねと思ってもらえたら嬉しいです。
――お話をうかがって、何かとても元気が出てきたような気がします。どうもありがとうございました。
(ほんじょう・まなみ 女優・エッセイスト)
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