新潮新書

蛇足許すまじ
司法のしゃべりすぎ
道路公団が「分室」という名称で、保養所のような施設を多数持っていたことが問題になっています。その少し前には、あちこちに豪華保養所も持ってることも怒りの対象となっていました。
役所や特殊法人の類の無駄遣いには、マスコミは敏感に反応し、糾弾します。
ところが、これが裁判所となると、ハコモノのような具体的なものがあまりないので、そういう批判の対象にはあまりなりません。しかし、実際には相当な無駄があるのです。
たとえば、延々と証拠調べをした挙句に、「この件は時効だから、請求を棄却する」というような裁判です。時効かどうかは、訴状を読んだとたんに裁判官には判断できることなのです。それなのに、どういうわけだか、長い時間をかけて事実関係を調べたりするのです。これはもちろん税金の無駄遣いにつながります。行政が訴えられた場合には、その間の弁護士費用だって必要です。その原資はこれまた税金です。
そんなバカな裁判、滅多にないのでは、と思われるかもしれませんが、大間違いです。ロッキード事件や、ロス疑惑、靖国参拝、戦後補償など、有名な事件にかかわる裁判でもこの種の無駄があるのです。その蛇足分の負担は、回りまわって納税者にツケが来るのです。
『司法のしゃべりすぎ』は、井上薫氏が、この問題について現役判事ならではの鋭い視点で分析した本です。ご一読のあとは、裁判報道を見る目が変わること、間違いありません。
2005年2月刊より
2005/02



