新潮新書

脳が整理される一冊です
議論のルールブック
企画の成立にはいろいろなケースがあります。こちらからの依頼もあれば売り込みもあります。
『議論のルールブック』は、編集者やマンガ原作者として知られる竹熊健太郎さんが「すごく面白い文章をネットに書いている人がいますよ」と教えてくださったのがきっかけでスタートした本でした。
読んでみると確かに面白い。大人なら誰でも日常的に行っている「議論」というものについて、ひとつひとつ「今さら?」ということまできちんと考えて、理詰めで記述しています。読みづらくはないけれども、流し読みもできない。不思議な味わいのある文章でした。
早速ご連絡をとり、執筆をお願いしました。すでに発表したものでは、活字の本に向いていない部分もあったので、結局、かなりの部分を書き下ろしていただいて出来たのがこの本です。竹熊さんには感謝申し上げます。
さて、依頼後にわかったことは著者の岩田さんがコンピュータのプログラミングをしているということでした。なるほど、プログラミングだったら飛ばし読みしてはまずいだろうな、と妙に納得させられたものです。
「今さら議論のルールなんて知ってどうするのか。知りたいのは議論の必勝法だ」という人もいるかもしれません。しかし、この本を読んでいくとどれだけ自分がルールを理解しないままに「議論」に参加していたか思い知らされます。岩田さんがいうところの「手を使ってはいけないことを知らずにサッカーに参加するような状態」だったことがよくわかります。
しかも面白いことに、ルールがわかってくると、会議など議論の場で感じていたストレスが減っていったのです。これまで意識していなかったけれども、脳内に抱えていた議論絡みのモヤモヤが、整理されたからです。
ルールがわかってくると、著者のいう「議論には勝ち負けがない」ということもわかってきます。つまり「必勝法」など学んでも仕方がないのです。
脳の中に優秀なソフトがインストールされて、ヴァージョンアップが完了した。そんな感じがしています。



