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編集者のことば 著者はもちろん、担当者にとっても手がけた本は我が子のように思えるものです。親バカだと思われるでしょうが、編集者の一冊の本にかける思いを読んでやってください。

「永遠に生きねばならぬ国家」をめぐって

国家の命運

薮中三十二

 政治主導と官僚支配からの脱却を掲げて政権交代を果たした民主党への期待は、このところ、急速にしぼみつつあるようです。国内外に難問山積は今にはじまったことではありませんが、内政にせよ、外交にせよ、掛け声だけで何とかなるほど国家の運営は簡単でないことが再確認されたという側面もあるでしょう。
 著者はこの夏に外務事務次官を退任するまで、1970年代から40年余り、国益を背負う外交交渉の最前線で奮闘しつづけてきました。その様子は、戦後最大の経済交渉となった日米構造協議、近年では、北朝鮮の核と拉致問題をめぐる六ヶ国協議など、メディアを通じてご記憶の方も多いと思います。
 もちろん、結果について様ざまな不満を抱く人もあることでしょう。しかし、外交において精神主義や感情論で対処することの危険は、往時の知識人が厳しく戒めるところです。
「こちらからワンと言って、先方がただだまって引込むなら現実主義は一番実益主義だ。しかしこちらがワンと言うと、先方がそのまま引きさがる保証があるかね。(中略)永遠から永遠に生きねばならぬわれらの国家にとって、いうところの理想主義者は結果において現実主義者である……」(清沢洌『非常日本への直言』)
 理想ばかりでも、理屈だけでもなく、現実の経験にもとづいて語られる日本の現勢図、そして将来への羅針盤としてぜひ御一読ください。
2010/10
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